瀬戸内が舞台の小説の中には映画化されたものが多数あり、瀬戸内各県で撮影ロケを行った作品も多い。スクリーンの中に登場する瀬戸内ならではの美しいスポットへ実際に足を運び、作品の世界観に浸ってみよう。愛媛県内で撮影された映画「がんばっていきまっしょい」のロケ地を紹介。
<取材・写真・文/鎌田 剛史>
『がんばっていきまっしょい』のロケ地 ~愛媛県松山市・今治市~
青春の汗と情熱をボートに捧げた五人娘の面影を追いかける。
1970年代の松山市の高校を舞台にした敷村良子さんの小説『がんばっていきまっしょい』。1998年公開の映画ロケは、原作と同様に松山市を中心に県内各地で行われた。田中麗奈さん演じる主人公・悦子たちのボートにかけるひたむきな姿と、それを優しく見守る瀬戸内海の美しさが印象的な本作。公開から25年近くたつ今も作品の輝きは色あせておらず、劇中に登場するスポットも当時とほとんど変わっていない。実際に撮影地に立てば、自身の高校時代の淡い記憶と重なり、悦子たちがさらに愛おしく感じられる。
劇中で悦子たちが通う高校となったのが松山市の「松山東高校」。校内に「がんばっていきまっしょい」の文字が刻まれた石碑があるそうだが、校内への無断立ち入りはNG。
悦子たちがトレーニングに励んでいた長い石段は「伊佐爾波神社」の参道。
135段の階段の上に「伊佐爾波神社」の境内がある。正面には楼門が構え、四囲を廻廊で囲んだ社殿が立っている。
悦子と仲間の晶子が出会ったのは「道後温泉本館」の休憩室。現在は保存修理中で1階のみ営業中。おなじみの外観が再び姿を見せるのは2024年12月の予定。
艇庫の最寄りの駅として登場する伊予鉄道の「港山駅」。駅舎は改築されて無人駅に生まれ変わっている。
悦子が艇庫に向かう際に利用していたのが「松山市営渡船」。現在も運航中。
ボートレース大会のシーンは今治市の「玉川湖」で撮影された。
ボート部の艇庫があった砂浜は今治市の「鴨池海岸」。オープンセットで艇庫が組まれた。
映画『がんばっていきまっしょい』
監督:磯村 一路/公開:1998年/東映/120分
原作『がんばっていきまっしょい』
愛媛県松山市の高校に通う15歳の「悦子」。どんよりとした退屈な毎日に灯りをともしたのは、女子ボート部での日々だった。練習、競技会、友情、恋…。かっこ悪いながらも、ひたむきな女子ボート部員たちの奮闘と、思春期の熱い鼓動を爽やかに描いた青春文学の快作。坊っちゃん文学賞受賞作。
敷村 良子 著 マガジンハウス
ロケ地情報などは 映画「がんばっていきまっしょい公式ホームページ」でチェック! ※運営は終了
瀬戸内の文学にスポットを当てた読み応え十分の特集記事は本誌でぜひチェックを。
「SETOUCHI MINKA」の取材風景や、本誌未掲載写真などはInstagramでも更新中!