GO! GO! SETOMIN GIRLS! Stroll through the Historical Streets.
古き良き風情が今も残る「伝統的建造物群保存地区(伝建地区)」。数々の歴史的建造物は観光スポットとしてもはやメジャーだが、歩き方や目の付けどころ次第でさらなる魅力をうかがい知ることができる。はては家づくりのヒントも見つかるかもしれない。瀬戸内エリア各県の伝建地区に秘められた魅力を再発見しに、あらためてゆっくりと散策してみよう。
<取材・文/鎌田 剛史 写真/鈴木トヲル>
倉敷市倉敷川畔 伝統的建造物群保存地区
岡山県倉敷市 ●種別/商家町 ●選定/1979年 ●面積/15.0ha
瀬戸内エリアの数ある伝建地区の中で、真っ先に思い浮かぶ町といえばやはり倉敷だろう。昔ながらの白壁や町家など、歴史情緒あふれるこの「倉敷美観地区」は岡山県を代表する観光スポットのひとつとして知られている。「大原美術館」「倉敷アイビースクエア」といった数々の定番名所を巡る以外にも、古い商家をリノベーションした雑貨店やカフェ、地元産の果物をたっぷり使ったスイーツの店などに立ち寄りながら、ただなんとなく、ひとりで気ままに歩くだけでも楽しい。
倉敷市倉敷川畔 伝統的建造物群保存地区ってどんなところ?
風にそよぐ柳並木や、白壁となまこ壁の美しいコントラストが倉敷川に影をおとし、伝統的な日本建築の美しさをよく残しているこの一帯は、江戸時代には米の集積地として栄えた地域。町並みから往時をしのぶことができる。世界的名画を集めた「大原美術館」をはじめ、民藝館、考古館などの文化的施設も多数。JR倉敷駅から徒歩で10分。詳しくはこちら
倉敷の町並み見どころ5選
①2階正面に開かれた「虫籠窓」。
明治維新前後から倉敷の町屋に現れ始めたという窓。木の枠のある窓の中に太い縦格子を入れたもので、主に主屋の正面2階に設けられている。本来は枠も縦格子も塗り込めだったが、後に縦格子が丸型や角型、さらには鉄の丸棒も現れた。
②「塗屋造」「厨子二階」の建物が中心の町並み。
多くの町屋に見られる構造。隣家に接する両側面と正面の仕上げとして木部を覆って防火的にしている。「中二階」ともいえる建物で、2階部屋の天井が低いのが特徴。昔は主に物置や使用人の寝泊まりに使われていた。
③瓦を張った本格的な「なまこ壁」。
外壁仕上げの一種で、倉敷の町並みのアイコンにもなっている伝統技術。目地の断面が半円形でナマコの容姿に似ていることから「なまこ壁」と呼ばれている。
④倉敷の路地と「ひやさい」。
旧市街では軒の連なる狭い路地のことを「ひやさい」といっていた。通りと通りをつなぐ路地は、かつては荷車や人が行き交っていたが、今でも当時の面影をしのぶことができる。
⑤ツタのからまる赤いレンガが趣深い「倉敷アイビースクエア」
倉敷の町並みに訪れたなら訪れたいスポットが「倉敷アイビースクエア」。1889年、かつて代官所があった場所に「倉敷紡績所」が赤レンガの工場を建設した。ツタが生い茂る赤いレンガが目をひく敷地内には、陶芸が体験できる工房やホテルなどがあり、往時の姿を現代に伝えている。
【倉敷アイビースクエア】
☎086-422-0011 詳しくはこちら
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