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【瀬戸内の名道】山口県の山岳ドライブルート。

「百名山」「百名勝」「百名瀑」…日本全国に多彩なジャンルの百傑が存在する中、「日本百名道」「日本の道100選」といった道のベスト100も存在することをご存じだろうか。瀬戸内の各県にも「名道」の称号にふさわしい珠玉の道が数多く走っている。山口県にも一度は訪れてみたい美しい名道がいくつも存在。今回は、緑深き山々や眼下に広がる雄大な景色を堪能しながらドライブを楽しめる山口県の美しい山岳ルート3路線を走ってみた。

<取材・写真・文/鎌田 剛史>

この記事を書いたのは…
瀬戸内民家シリーズの雑誌表紙

瀬戸内海沿岸の岡山・広島・山口・香川・愛媛・兵庫各県で家づくりを手掛ける腕利き工務店の情報に加え、瀬戸内の自然や気候風土、歴史、文化といった、瀬戸内で暮らす魅力を発信しています。さらに詳しく>

①秋吉台カルストロード(山口県道242号 秋吉台公園線)

日本最大のカルスト台地である山口県美祢市の秋吉台を南北に縦断する全長約13kmの高原道路。広大な草原に、露出した石灰岩が羊の群れのように点在する異世界感抜群の風景の中を駆け抜けるドライブルートだ。

日本最大のカルスト台地を南北に貫く絶景ルート。

山口県中西部に位置する日本最大級の規模を誇るカルスト地形「秋吉台」。この広大な台地を南北に貫くように造られた道が「カルストロード」だ。
一帯は「秋吉台国定公園」の指定エリア。展望台やカフェ、無料休憩スペースなどを併設した「Mine 秋吉台 ジオパークセンター」をはじめとする観光施設も整備されている。
石灰岩などで形成された大地が、雨水や地下水などで侵食されて出来上がったのがカルスト地形。特異な景観が広がっている。
山中とは思えない解放感あふれる大平原の中を走る。
無数の石灰岩柱が点在する緩やかな丘陵地を眺めながらのドライブは気分爽快。

フワリと落とした糸のようにしなやかな曲線を描き、広大な台地を縫うように延びる道は走りやすく、雄大に広がる台地の中へ道が吸い込まれていくような風景は圧巻。まるで緑の海の中でハンドルを握っているような感覚で、車窓を全開にして走れば気分爽快だ。

長者ヶ森駐車場」に車を停めて、雄大な秋吉台の草原を散策。

緩やかなカーブとストレートで構成された道は、景色をのんびり楽しみながら走りやすい。 
途中の駐車場に車を停め、秋吉台を歩いて散策するのも楽しい。
どこまでも続く広大な草原を眺めながらのランチタイムも◎。
秋吉台は毎年2月に野焼きが行われるのが恒例で、その直後には黒く焦げたエリアが多い。新緑に覆われた春から夏に訪ねるのがおすすめ。
秋吉台で唯一の原生林が残っている「長者ヶ森」や、すり鉢状の窪地「ドリーネ」も間近に見学してみよう。

途中にある「長者ヶ森駐車場」に車を停め、大草原を歩いて散策するのもオススメ。せっかくならば、秋吉台の地下にある国内屈指の規模を誇る鍾乳洞の「秋芳洞」にも併せて立ち寄りたい。

秋吉台カルストロード(山口県道242号 秋吉台公園線)

【アクセス】中国道美祢ICから国道435号、一般道、県道242号経由で約15km
【所在地】山口県美祢市美東町~秋芳町 24時間通行可能 通行無料

【問い合わせ】0837-62-0305(秋吉台観光交流センター) https://karusuto.com/spot/akiyoshidai

②太華山ドライブウェイ(周南市道 太華山登山道線・太華山下山道線)

山口県周南市の東端、瀬戸内海に突き出た大島半島にある標高362mの太華山山頂へと続く約7kmのドライブウエー。それほどメジャーなドライブルートではないが、山頂は山口県内屈指の夜景スポットであり、夜になるとロマンチックな夜景を見ようとカップルたちが訪れている。終始細い道が続くが、登山道と下山道が分かれており、一方通行なので対向車とすれ違うことはない。

山頂へ向かってひたすら上るドライブコースの穴場。

登山道のスタート地点周辺。ここから細く曲がりくねった山の中の道をひたすら進んで行く。
周南市の南端に位置する大島半島にある太華山は、標高362mの独立峰。
「太華山」の看板から山道に入ってしばらくは集落の中を通るので、地元住民や歩行者に注意しながら走ろう。
登山道は一方通行なので対向車との離合はないが、道幅は狭く見通しの悪いカーブもあるので、運転は慎重に。
ドライブウエーは木々が生い茂り、展望はあまりよくないが、道中に徳山湾の美しい景色を見渡せるスポットもある。本土と光市の笠戸島を結ぶ赤いアーチ橋「笠戸大橋」も望める。

くねくねと曲がった細い道のほとんどは木々がうっそうと茂る山道だが、所々に展望が開ける場所があり、コンビナート群や瀬戸内海の景色を楽しめる。ただしルートのほとんどは道幅が細く、道の途中で停車すると後続の車両が通行できない場合もあるので、十分な広さがある場所に車を停めよう。

山頂から見下ろすコンビナートの風景が圧巻。夜には幻想的な夜景を独り占め。

山頂の展望台からは周南コンビナートを一望。山口県内で指折りの夜景スポットとしても人気を集めている。
頂上付近には与謝野晶子の夫・鉄幹の石碑が鎮座している。
山頂への分岐点。下山道も一方通行。
山頂まではドライブウェイのほか登山道も整備されている。
山頂広場。展望台からは瀬戸内海の島々をはじめ、大分県の国東半島や、晴れた日には愛媛県の佐田岬半島まで見渡せる。

山頂駐車場からしばらく階段を上ると展望広場があり、東に笠戸湾と笠戸島、西に徳山湾と大津島などを望む360度の大パノラマを楽しめる。特にここは国内屈指の夜景スポットとしても知られ、トワイライトタイムには、周南コンビナートや市街地が彩り豊かに煌めく美しい光景を独り占めできる。頂上付近には展望台のほか、江戸時代に徳山藩主が建立した「大島不動尊」や、与謝野鉄幹の歌碑がある。

太華山について詳しくはこちら

太華山ドライブウェイ(周南市道 太華山登山道線・太華山下山道線)

【アクセス】山陽道徳山東ICから国道2号、県道366号経由で約10km
【所在地】山口県周南市栗屋 24時間通行可能 通行無料
【問い合わせ】0834-33-8424(周南観光コンベンション協会) https://kanko-shunan.com

③千防山・大峯山 コバルトライン(光市市道)

「コバルトライン」といえば宮城県のドライブルートとして全国で有名だが、実は山口県にも「コバルトライン」と名付けられた道が存在している。ひとつは県北部の日本海沿いに延びる国道191号のうち、「北長門コバルトライン」と呼ばれる萩市から島根県益田市までの区間、そして県南部の光市にある千防山と大峯山を結ぶ「千防山・大峯山 コバルトライン」の2本だ。 「千防山・大峯山 コバルトライン」 は、全長約15kmの林道で、瀬戸内海に沿って豊かな自然に包まれた高台を走っている。

コバルトブルーに輝く瀬戸内海の景色を一望。

冠山総合公園内にあるコバルトライン西側入口から約5分でたどり着く「萩の平展望台」。南に室積半島、西に光市の市街地や工業地帯を一望でき、トワイライトタイムには美しい夜景も楽しめる。
コバルトラインには「冠山総合公園」から入る。
路線上には散策路のある7つの森と、駐車場を備えた3つの展望台がある。
瀬戸内海に突き出した室積半島。半島の先端にある「象鼻ヶ岬」は、まるで象の鼻のような形をした砂洲が延びており、「周防橋立」とも呼ばれる景勝地。
コバルトラインにある展望台で最も東に位置するのが「コバルト台地」。南東方向に広がる多島美が秀逸。

「冠山総合公園」を起点に、「四季の森」「野鳥の森」など途中に7つの森があり、それぞれ散策路が整備されているので森林浴ハイキングも満喫できる。駐車場がある「萩の平展望台」や「コバルト台地」からはコバルトブルーに輝く海を一望。周防橋立とも呼ばれる「象鼻ケ岬」、日本の白砂青松百選にも選ばれた「室積海岸」も見渡せる。

ワイルド&タフなドライブが味わえるマウンテン・ロード。

森の中を延々と走り続ける。木漏れ日が差し込む道は幻想的で美しいが、時折進む方向が間違っていないか不安になることも。
道は細く、所々舗装がはがれていたり、ガードレールや路肩が崩落している箇所もあるので、ゆっくり慎重に進もう。
鳥のさえずりだけが響き渡る静寂な森で、マイナスイオンを浴びながら心身ともにリフレッシュできる。
決して走りやすいとはいえない山道をひたすら走り続けると、やがて下り道に。正面には陽光を浴びてきらめく瀬戸内海が広がる。終点近くは、どの道が本線なのかわかりにくい交差点もあるので注意。
ルート終点で国道188号と接続。光市と田布施町の境界にある「梶取岬」付近に到着する。

ルートの大半はうっそうとした木々に囲まれた山道で、「コバルトライン」という名の割には海の眺望がほとんど開けていない。また、道の真ん中に落石があったり、ガードレールがなかったり、路肩が崩れている箇所も所々にある。さらに対向車との離合が困難な場所も老いので、ゆっくり慎重に走ろう。やがて「梶取岬」にほど近い国道188号に突き当たる。

千防山・大峯山 コバルトライン(光市市道)

【アクセス】山陽道熊毛ICから県道8号・23号・68号・22号経由で約15km
【所在地】山口県光市光井山口県光市光井~室積 24時間通行可能 通行無料
【問い合わせ】0833-72-1400(光市観光協会) https://www.hikari-kanko.org

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