国内有数の盆栽産地を擁する瀬戸内。盆栽栽培の盛んな地域へ足を運び、盆栽に携わる人たちに産地としての取り組みや作り手の想いをインタビュー。今回は、香川県高松市にある「JA 高松盆栽の郷」をレポート。
高松盆栽とは?
高松盆栽とは、鬼無・国分寺地区を中心とした地域でつくられた盆栽作品の総称で、同地区は国内トップシェアを誇る最大の松盆栽の産地だ。中でも「黒松」は古来より人気が高く、太い幹や堂々とした枝ぶりから「盆栽の王」とも呼ばれ、多くの盆栽愛好家から愛されている。
さらに「錦松」は、国分寺出身の盆栽職人の高い「接ぎ木」技術によって広まった、高松発祥のマツとして知られる。威厳ある古木感や樹皮の割れが魅力的な、「黒松」と並ぶ高松を代表するマツ。両マツとも丈夫な幹と枝を持つため、幅広い樹形に対応できる盆栽として仕立てる楽しみを存分に味わえる。
高松盆栽の歴史、魅力、今後。
高松盆栽の起源
約200年前、鬼無・国分寺地区の盆栽愛好家が周辺に自生していた樹木を鉢に植え替えて販売したことが、高松の盆栽産地としての始まりといわれている。その後盆栽の生産技術をいち早く確立し、最盛期には盆栽産業で発展を遂げ日本最大の盆栽産地へと成長する。
幅広い支持を得る高松盆栽の魅力
鬼無・国分寺地区には盆栽園や盆栽センターが多くあり、購入者と生産者との距離が近いため、高品質な盆栽を他地域より手ごろな価格で購入することができるのも魅力のひとつ。購入後の相談を受け付けているところも多く、産地としての強みを生かしたサポートも手厚い。苗から盆栽を生育していることも産地ならで。植物の生育に適した気候で丹念に育てられた盆栽は、丈夫で腐りにくく、初心者から玄人まで幅広い層に愛されている。
「これから」
現在盆栽界では、生産者や愛好家の減少が問題となっている。このままでは、鬼無・国分寺地区でも10年後には現在の半数まで生産者が減るといわれている。これを受け、盆栽の知識や技術を学べる研修制度を設けたり、ワークショップを開催して盆栽に触れる機会を増やすという活動なども行っている。「愛好家を増やし、その方たちが生産者になってくれればという思いもあるんです」と苔玉インストラクターの橋本さんは語る。SNSやイベントを通じた情報発信も、若い世代の愛好家を増やすことが狙いだという。文化を絶やすまいという姿勢には、国内最大の産地としての威厳がうかがえた。
「植物に触れて育てるというのはセラピー効果もあるので、一度お近くの盆栽園や盆栽センターに足を運んで手に取って癒やされてみてください。相談も常時受け付けているので、盆栽と一緒にいつでも気軽にいらしてください!」
JA香川県 高松盆栽の郷
【住所】香川県高松市国分寺町国分353-1
【営業時間】 8:30~17:00
【問い合わせ】087-874-2795
https://ja-takamatubonsainosato.com
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