東側の道路に玄関口を設けた、三角屋根のコンパクトな平屋の外観。南北には古い隣家が迫り、グレイッシュな外壁が落ち着いた住宅地の風景に程よくなじむ。一見して控えめな印象を感じさせるKさまご家族の住まいだが、その間口からは想像もつかないほど東西に細長く、奥へと進むにつれて驚くほど広がりのある内部空間が展開されている。内と外のギャップを高めているのは、隣家からの視線をカバーする塀と、室内に光と開放感を届ける中庭の存在。建物の西側にはご主人たっての希望で本格的なバスケットコートと芝生の庭が設けられ、大好きなバスケットボールを生活の一部として楽しむことができる。「ワクワクできる家がほしかったんです」と奥さまが語るように、ご夫婦が重視したのは暮らしや趣味を楽しむための住まい。家づくりを託された「建房」は、極端に細長い変形地を逆手に取った巧みな設計プランによって、庭と室内がつながり合うのびやかな住空間を完成させた。プライベートな中庭を望む縦長のLDKには、ワイドサイズの木製カウンターとベンチを兼ねた造作棚をレイアウト。家族やゲストが自由に座り、目線を合わせながら食事や会話が楽しめるように床や棚の高さまで細やかな配慮がされている。ご主人は子どもたちとバスケットボールや庭遊びをして過ごし、奥さまはキッチンに立って家族の様子を見守りながら料理をしたり、植物のアレンジを楽しんだりするのが至福の時間となった。「中庭から差す光と影のコントラストが、家の風景を美しく見せてくれます」と笑顔を見せる奥さま。この家がもたらす心の機微と居心地の良さが、暮らしを豊かに彩っている。
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デザイン・性能・コストのバランスをコンセプトに家づくりをしています。安心して快適に暮らすことができる自分たちだけの家を、楽しみながら一緒につくっていきましょう。
代表取締役 大森 大地