香　川

　弟夫婦がすでに「川西工務店」で建築しており、その住まいを訪ねて魅了されたFさま。Fさまご夫婦の希望は「和室がある平屋」。南側に広い庭を配して東西に延びる、モダンな住まいだ。
　敷地はFさまの実家の南、程よい距離に位置するゆったりとした土地。家の顔である玄関には、訪れる人を出迎える二つの前庭。中低木を配植し、天然石を据えた前庭は、山の風景の一部を運んできたかのようだ。玄関正面の前庭は、格子の目隠し壁を背景とし、どこか郷愁を誘う和の趣を醸し出す。
　平屋の間取りの魅力は、ワンフロアで暮らしが完結すること。そんな集約された空間を、ご夫婦はさらに自分たちらしい配置で構成した。東側にはリビングや客間を兼ねた和室、玄関を配し、パブリックゾーンに。西側には水回りや寝室を位置させ、気兼ねなくくつろげるプライベートゾーンとした。玄関からパントリー、キッチンとつながる動線もコンパクトになり、食料品の買い物や家事など奥さまの利便性も大きく向上した。
　リビングや寝室といった居住空間は南向きとなっており、瀬戸内ならではの太陽の恵みをたっぷりと受けることができる。この配置は、リビングにいても、寝室や書斎、和室にいても、南面に広がる芝庭を眺められる豊かな暮らしをもかなえた。
　家族を招き、広い庭で一緒に味わうBBQは、この家と庭で生まれた楽しみのひとつ。夏には子どもとプール遊びもできるようになった。芝生を駆け回り、庭木の四季の表情を感じる暮らしは、家族をあたたかく包み、子どもの情緒を健やかに育んでいくことだろう。