創業75年の若葉家具ショールームが、
家具デザイナーの監修のもとに「わかばかぐ」としてリブランド。
多機能なリモデルも図った複合施設としての新たな世界観を実際に体感しながら、
社長の井上隆雄さんにその魅力を聞いた。
PHOTO_鈴木 トヲル TEXT_吉田 美保
創業75年の府中家具メーカー・「若葉家具」は2023年4月、家具デザイナー・小泉誠氏との協働によりショールームの全面リノベーションを行った。新たに生まれ変わった「わかばかぐ」ではただ家具や生活道具を展示・販売するだけでなく、府中家具の歴史や古道具の魅力をたっぷり紹介した「ミュージアム」や、フリーアドレス化した新しいオフィス空間を併設している。
1階には、デザインはもちろん使い心地の良い、地域にもこだわった家具や生活道具を限定して取りそろえている。白い壁を美しく彩る椅子はどれもシンプルで座りやすそうな形状と優しいカラー。それぞれが座面のくぼみ加減など微妙に異なる繊細なデザインを見せる。上質な家具をすてきにコーディネートしてくれる生活道具は、一つ一つ手に取ってみたいものばかり。また、小泉氏によるおおらかな風通しのいい空間デザインにも注目したい。
2階に上がれば、まず迎えてくれるのが白いトンネルの入口。この意表を突かれたような空間は、実は府中家具や「若葉家具」の歴史を追った展示室。今から約300年前の江戸時代、備後の国の職人が大阪で学んだたんすづくりを故郷に広めたのが府中家具の始まり。その後、備後府中では大正時代中頃から昭和初期にかけて、たんす職人が増え続けた…などたんすづくりから始まった府中家具の歴史が細やかにつづられている。トンネルを抜けると、昔使われていたかんなやのみなどさまざまな古道具が展示され、ものづくりへのこだわりや職人の細やかな仕事ぶりを知ることができる。木を切り出し、人の手で一つ一つ精巧に生み出された家具や生活道具の背景を学べば使い手の愛着も一層高まり、そうして大切に使われる上質な家具は子や孫に受け継がれ、新たな家族の歴史も刻まれてゆく。
奥に進めば、自然光と開放感に満ちた明るい空間が目の前に広がる。ここは「暮らしながら働く」を提案する新しいオフィス空間であり、家具と空間が調和した、まるで家にいるような環境下で仕事に集中できる場所。自社製品のデスクや椅子を配しているため上質な座り心地や使い心地を体感できる上、デスクを限定しないフリーアドレスだからその日の気分で席を選べる。南側のカウンター席で爽やかな庭風景に心癒やされ、気候のいい時には外のテラス席で自然をダイレクトに感じると、新たなインスピレーションが次々と湧き上がってきそうだ。まずは「暮らしながら働く」ことを自身で実感してみることをおすすめする。
風が通り抜けていくような開放的な空間で、丁寧につくられた上質な物に触れられる時間。そんな至福を味わえる「わかばかぐ」に足を運べば、心潤う暮らしのあり方、新しい暮らしの形を実感できるに違いない。
わかばかぐ/若葉家具 株式会社
住所/広島県府中市高木町1201-1
TEL/0847-45-5816
https://wakabakagu.com
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