爽やかな風を感じながら、美しい瀬戸内海を望む絶好の見晴らし。
「日本のウユニ湖」と称され、国内外から多くの人が訪れる観光地「父母ヶ浜」の近くに、
1日1組限定の貸切宿「讃岐緑想」がある。
PHOTO_courtesy of 菅組 TEXT_鎌田 剛史
初めて訪れた土地なのにどこか懐かしく、まるでここに昔から住んでいるような不思議な感覚に誘われる。香川県の西部、燧灘に面した三豊市仁尾町に佇む宿「讃岐緑想」は、いわゆるホテルとは一線を画し、讃岐で「住むように滞在できる」全く新しいコンセプトのゲストハウスである。建築家・堀部安嗣の設計によって2020年にオープンしたこの一棟貸しの宿は、香川の土を配合し焼成した菊間瓦の屋根をはじめ、黒い焼杉板の外壁、古くから受け継がれる伝統の越屋根など、讃岐の気候風土に根差したデザインが印象的だ。
室内は四国産のスギの無垢材を豊富に使った温もりのある空間。施工を手掛けた「菅組」の熟練大工たちによる卓越した伝統技術が随所に見られ、その繊細かつ丁寧な仕事ぶりには目を見張る。ゲストをもてなす漆器や湯呑み、アメニティなどにも香川の伝統工芸品を採用するなど、讃岐の風土を五感で感じられる配慮が行き届いている。
特別な宿泊サービスなどは用意されていないが、近所を散策がてらスーパーで地元食材を買って来て、備え付けのキッチンで調理したり、「父母ヶ浜」を間近に望む居間の特等席に座り、ただ静かに景色を眺めたり…。まるでここに住んでいるかのごとく過ごす時間の尊さを存分に味わうことこそ、「讃岐緑想」に滞在する醍醐味だと言える。ここには現代の日本人が忘れかけている本当の豊かさと、情報過多で慌ただしい日常の喧騒とはかけ離れた、ぜいたくな時間があふれている。
土地の風土や街並みに馴染む住空間を創造する建築家・堀部安嗣と、地元・仁尾町に本社を構え、「讃岐の風景をつくる」をコンセプトに掲げる「菅組」が手掛けた一棟貸しの宿。
「父母ヶ浜」まで徒歩数分という絶好のロケーションで、2020年の開業以来、国内外の観光客から絶大な人気を集めている。
基本1~4名(最大7名まで)利用可能で、宿泊料金は1棟57,200円〜。オプションで地元の幸を使った夕食・朝食を付けられる。
「菅組」の施工実例はコチラから
住所/香川県三豊市仁尾町仁尾乙266-13
TEL/0875-82-3837 https://www.sanukiryokusou.jp