薪を燃やして暖を取る、煙突の付いた暖房器具「薪ストーブ」。ストーブ本体の輻射熱(ふくしゃねつ)や、本体周りの暖かい空気の対流により室内を暖める仕組みで、日本全国はもちろん、この瀬戸内でも近年じわじわと人気が高まっている。そんな薪ストーブを専門に取り扱い、多彩なラインアップを誇る西日本有数の店が広島県福山市にある。薪ストーブを知り尽くしたプロへのインタビューから、その魅力を探ってみた。
「火のゆらめきを見ると心が落ち着くという人が多いですよね。人間は太古の昔から火とともに生きてきました。暖を取ったり、狩りで仕留めた動物を焼いて食べたり、獣から身を守るために焚き火のそばで眠ったり。こうした火と人間との関係性は現在に至るまで脈々と受け継がれ、今を生きる私たちの遺伝子にもしっかりと組み込まれているのではないでしょうか」と語るのは、広島県福山市に本格的な薪ストーブのショールームを構える「小畠」の小畠悦男社長だ。
「小畠」は38年前から薪ストーブや築炉式暖炉の取り扱いを開始。これまでに販売した薪ストーブは数千基に上り、中四国地方では随一の薪ストーブ専門店として人気を集めている。クックウェアからストーブグッズ、ガーデン&エクステリア用品などまで幅広く取り扱う。購入後のメンテナンスや修理にもきめ細やかに対応している。
同社敷地内に立つ3棟のショールームには、北米・北欧製などを中心に、クラシカルなものからコンテンポラリーデザインまで、約40基の薪ストーブや暖炉を一堂に取りそろえている。知識と経験に富んだ小畠社長やスタッフが、1基1基丁寧に説明してくれるので心強い。
北海道や東北地方のような厳寒地域ではない瀬戸内での暮らしに、薪ストーブほどの暖房機器は必要ないのではという問いに、小畠社長はこう答える。「温暖な地域であるとはいえ、冬はやっぱり寒いですよね。暖を取れるだけでなく、癒やしの効果が得られるのも薪ストーブならではの良さ。何より、自然環境保護が叫ばれる現代においては最も適した、環境に優しい暖房機器だと私は思うんです。薪ストーブで薪を燃やすと空気中に二酸化炭素が排出されますが、木は二酸化炭素を吸収して育ちますから、結果的に地球上の二酸化炭素の量は変わりません。木は伐採してもまた芽吹き、半永久的に再生を繰り返します。これがカーボンニュートラルです」。
小畠社長は、瀬戸内の自然と共生していくためにも、薪ストーブのある暮らしはこれからの人間の営みには必要であると強調する。こうした考えに共感し、薪ストーブを求める人が徐々に増えてきているそうで、小畠社長は喜ばしいことと目を細める。だが、薪ストーブは慎重に選び、信頼できるショップで購入してほしいと警鐘を鳴らしている。「量販店などで安価に購入したものの、メンテナンスや使い方が分からないと相談されることもあります。設置がずさんだったり、誤った知識を持った人も。薪ストーブを購入する際は、深い造詣を持ち、購入後も手厚くサポートしてくれる専門店を選んでほしいですね」。
【所在地】広島県福山市東川口町4-1-34
【TEL】084-953-0555
【営業時間】
平日/9:00〜18:00 日・祝日/10:00〜17:00
【定休日】年中無休 (年末年始、GW、夏期休暇を除く)
「小畠」が手がけた「薪ストーブのある家」の訪問レポートはこちら
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