石や木も全て、人と同じように固有の” らしさ” があり、それを無理なく表現することが大切と語る「三樹園」代表・三宅氏。幾通りもの見せ方や、その物にしかない味を感じてほしいと言う。常に念頭に置くのは、施主の気持ちになって思い描くこと。施主とふれあい、庭づくりができることに心から感謝し、同社はこだわりの空間を生み出し続けている。

古都・京都で修業を積み、地元の香川で「植昌　橋本造園」を開いた橋本氏。以来20有余年、個人宅から寺の庭まで、伝統美あふれる空間を創り出している。施主の思い出の石橋を生かした庭石や、遊び心あふれる炭の雨落ちなど、細部にこだわった作庭で、橋本氏は現代の庭にも物語を織り込む。

昭和45年の設立以来、地域密着で庭づくりを手掛ける「龍虎園」。京都の老舗造園で経験を積み「第44回技能五輪全国大会」金賞受賞の実績をもつ園主・髙田氏が、大庭園から小さな坪庭づくり、庭リフォームまで、四季を感じられる空間を生み出している。なかでも石材の扱いを得意とし、品格あふれる石燈籠や堂々たる天然石の水鉢といった、上質な石造作は圧巻だ。

四季の風を彩るとの意味を込めた「庭処 彩風」。坪庭からエクステリア、洋風から日本庭園まで幅広く請け負い、特にモダン和風を得意とする。限られたスペースでも趣向を凝らし、その地の気候風土や風景に合った自然素材を生かして希望の庭を形にしてくれる。基本的に既製品には頼らず、フェンスや造形壁、照明なども手作り。

昭和初期頃創業の「金光園」。4代目を務める河手氏は、この道一筋30 年の庭師だ。河手氏が手掛ける庭には、木や下草、れんがや自然石の素朴な色彩と質感がある。その空間に流行を追ったような派手さはない。素材や組み合わせ、造形や配置を熟慮し、熟練の技で入念に造り上げた庭には、無駄に飾らないシンプルさと実用性の美がある。

「晴好雨奇」（せいこううき）という言葉がある。自然の風景は、晴れの日には美しく、雨が降れば雨の日なりの趣があると、先人たちは感じていた。「仙波農園」の庭づくりは、そんなさりげない自然にも似た「調和」を志す。歴史と伝統を取り入れつつ、植物や石が際立ちすぎない配分も重視。施主の思いや必要性に寄り添った、予算面でも暮らしの面でも無理のない庭づくりが信条だ。