涼しげな木々に迎えられ、玄関扉を開ければ視線の先は美しい和風の庭。さらに扉を開けるとジャングルのような別世界。ミニマルな中に異なる世界観が緑によってつながったオリジナリティあふれる空間が広がる。もともと写真を撮るのが共通の趣味というご夫婦は、緑のある風景や植物を撮影してはSNSにアップするうち「無類の植物好き」に。室内のそこかしこにコウモリが大きく羽を広げたような着生植物・ビカクシダが飾られる一方で、屋外では京都のお寺のように風情ある庭風景が目を楽しませてくれる。奥さまのたっての希望だった「カーテンのない暮らし」は、家づくりと庭づくりを同時に検討することでかなえられた。「空と緑がきれいに見えるし、自然光も入りやすくなって気持ちいいんですよ」。外部からの視線は遮られ、窓を開け放した状態でものびやかに過ごすことができる。フルオープンにすれば心地いい風が部屋の中をサッと通り抜け、どこか懐かしい木と土の香りがふわりと鼻先をくすぐる。休日には窓を開けリビングとひとつながりになった庭や土間で過ごすことが多く、植物のお世話をしたり、木製ベンチに腰かけて二人でゆっくりお茶を飲んだり。長めに設えてもらった木製ベンチに寝転がって、サルスベリの木の間に浮かぶ空の景色をのんびり眺める時間も、実はとても気に入っている。夜、中庭に面したお風呂のバスタブに浸かって窓の外をみると、昼間とはまた違う幻想的な風景が広がる。バスタブを床面より低く設計してもらったため、ちょうど目線と同じ高さで自然が楽しめる。軒先に取り付けたダウンライトによって、葉っぱや石の表情が情緒豊かに浮かび上がる様も美しい。夜も更ければ自慢のギターを弾き、棚を彩るボトルの中からその日の気分で選んだお酒を心ゆくまで嗜むひととき。刻々と変化していく庭風景のそばで趣味を楽しみ、暮らしを満喫するご夫婦。緑と共に今日も心地よい時間が流れていく。
建築実例データ | |
|
一般的に、庭づくりは家が完成した後。実際に住まれた感想を直接聞き、「住環境」の提案に生かせるのが一番の強みです。また、庭屋だからこそ、「環境」を踏まえた上での「住まい」づくりを大切にしています。特にお子さまにとって一番大事なものは磨かれる感性。幼少期から季節を肌で感じられる環境の中で過ごすことで、それは「原風景」となり、多くの感性を磨くことができます。
代表取締役 森田 健吾