見て、触れて感じてほしい――
「さしこう」では地球にも人にも優しいナチュラルスタイルをテーマに、
ぬくもりあふれる空間で「ほんもの」を提案。
店長の片山さんに話を聞きながらその魅力に迫る。
PHOTO_鈴木 トヲル TEXT_吉田 美保
百年たっても使い続けることのできる、価値ある“ほんもの”を提案する「さしこう」。その信条は、創業百年を超えても不変である。明治43年、創業者・芦田幸治郎氏は、指物師(くぎなどを使わずに木と木を組み合わせて家具や建具を造る職人)としてものづくりを始めた。同氏の指物は百年以上経ても支障なく使われるほど精巧で美しく、使い込むほどに色や艶が増し、例え傷やしみが付いても、それは味であり時代を経てきた証という。
「本物にこだわる」精神は今も脈々と受け継がれている。「さしこう」(岡山大福店)では、日本全国の家具職人が造るオリジナル家具や遊牧民による手織りじゅうたん・ギャッベ、「吉原木工所」の繊細な組子作品、「復古創新」がテーマの「群言堂」ウエアを取りそろえている。切り出した木の木目や板の形を生かした手造り家具は同じものが二つとなく、どれも個性的で重厚感があり、強度や耐久性も兼ね備えている。とはいえ使い込むうちに木に割れが生じたり、傷や汚れが目立つようになってきたりするが、その場合はチギリで補修し、塗装し直すなど再び息を吹き返すよう手を尽くす。ご両親が使用していたテーブルをきれいに修復して娘さんが嫁ぐ際に持って行ったなどのエピソードを聞けば、一つのものを永く使うことは限りある地球資源を守ることであり、また次世代へ受け渡していく意味でも重要だとあらためて考えさせられる。
「1枚ずつ触れてみてください。遊牧民が羊を育てて毛を刈り、糸を紡ぎ丹精込めて手織りするじゅうたんは全て色合い、風合いが異なるので、それぞれの感性に沿うものを選んでいただきたい」ギャッベの魅力を、そう強調する店長の片山さん。元々遊牧民が屋外で敷物として活用していたギャッベ。普段使いは当たり前で、ほつれたら繕い百年でも使用できるほど丈夫なうえ、何より肌触りが心地よい。決して安い買い物ではないがトータルで考えるとその価値は余りある。
何年たっても色あせるどころか、ますますその真価を高めていく“ほんもの”を住まいの中で楽しみ、育み、未来へとつないでいく。そんな暮らしを提案できるのは
「さしこう」だからに違いない。
さしこう 岡山大福店
住所/岡山県岡山市南区大福134-7
TEL/086-250-9311
https://sashiko.co.jp