今年5月に完成した「スケールクラフト」のショールームを見渡しながら、「移転は年齢的にも今回で最後。だからこそ、納得がいくものがつくりたかった」と振り返る赤堀社長。当初は新築を考えていたものの、思うような土地と出合えず断念。知人からのアドバイスを受けて賃貸へと考えを移行した。けれども、「ただのテナントでは面白みがない」。よりよい物件を求めたどり着いたのが、旧・事務所付近にある一軒の倉庫だった。新境地である倉庫を前に、構想は白紙。だが、「倉庫の中で植栽を」というコンセプトは自然と思い浮かんだという。「建物は外構・植物があってこそ格好いい。どちらか一つが欠けただけで、どこか未完成に感じるんです。だからこそ、建物の中に庭を造りたかった」。
アイアン製の扉を開けて倉庫という外枠から内側に入ると、シンボルツリーのオリーブ、愛らしい「FIAT」の車が目に飛び込んでくる。その内庭を中心とし、左右にはテイストの異なる建物をプランニング。左側に集約させた水回りと社長部屋は、素材感のあるコンクリートブロックをはじめ、「本物の素材」のみを採用した武骨なデザインがなんとも格好いい。建物の右側は、スタッフの作業デスクや打ち合わせスペースに。こちらは飾り気をそぎ落とし、シンプルで洗練されたデザインに仕上げた。
一つの大きな枠の中で2棟それぞれの個性を対比として楽しめるのはもちろん、内庭部分を介して空間だけでなく人と人の距離や思いを紡ぐ役割も果たす手腕は見事の一言。まるで倉庫自体が複合施設のような、遊び心を随所に忍ばせたショールームが完成した。
建築実例データ | |
|
たとえ暮らしが変わっても、夢が変わっても変わらず安心して快適に暮らせる場所を守り続けたいと思っております。目まぐるしく変わる人生のステージを、いつでも全力で楽しみ尽くせる、そんな暮らしのハコをご提案します。
代表取締役 赤堀 貴生