岡　山

家族の記憶を繋ぎ思い出を紡ぐ家。

豊かな緑に彩られた里山の麓、周囲の景観に溶け込むように佇むＹさま邸。奥さまの実家敷地内に建てられた平屋は、打ち合わせから竣工まで、実に2年6ヵ月もの月日を要したという。「始めは二階建てのプランを考えていました」と奥さま。当初は、同じ敷地内にある無人の古家を立て替える予定だった。土地面積を考えて2階建てのプランが計画されたが、幼少期を過ごした実家が平屋だったこともあり、なかなか具体的なイメージを描けなかったという。あらゆる条件を見直した結果、実家の建て替え計画が浮上。お母さまの協力も得られたことも手伝い、余裕のある敷地を生かした、平屋の計画が実行される運びとなった。「収納は多めに」「共働き夫婦だから家事動線を考えて」と、Yさまは自身でも間取り図を作りなが ら暮らし方を想像したという。抜け感のある玄関を 過ぎると、全面に敷かれた無垢のオーク材と緩やかな勾配天井が目を引く開放感のあるLDKが現れる。日々の家事に追われる奥さまが少しでも時間を短縮できるよう、キッチンから洗面脱衣室、クローゼットまでを回遊できる設計に。夏は太陽光に満ちた明るい室内だが、暑さを感じることはない。家じゅうに 張り巡らされたパッシブ冷暖により、14畳のエアコン1台でどこに居ても快適に過ごすことができるという。「マツミ住宅」が得意とする、「自然の 力を生かし、住まい手が暮らし方を調整できるパッ シブデザイン」を最大限に活用した住宅に「本当に 暮らしやすいです」と笑みを浮かべるYさま。かつてのお母さまの家はその姿を変えても、思い出と家族の新しい物語を紡いでいく。