岡　山

しなやかさと強靭さを両立する、瀬戸内の暮らしの最適解。

　2人の子を持つTさまご夫婦が平屋を選んだのは、90坪の広大な敷地を手に入れたためだけではない。戸建て2階建て、アパート住まいをそれぞれ経験し、ワンフロアの暮らしよさをつくづく実感してきたからだ。大量の洗濯物を抱えて階段を上り下りする必要もないし、子どもの転落を恐れることもない。掃除の負担も格段に軽減し、何より、子どもたちが巣立った後も無駄なく安心して過ごすことができる。 　平屋における家族の営みは必然的にLDKに集約される。だから、ここには20帖余りのスペースをぜいたくに割いた。緩やかな2寸勾配の最高天井高は５m近くあり、庭を構えた南の陽光はもちろん、北側の上質な光もたっぷりと降り注ぐ。住宅密集地に立つ平屋であることさえ忘れてしまう圧倒的な開放感は、テクノストラクチャー工法によるところも大きい。高温多湿の瀬戸内の夏には調温・調湿性に長けた木造が最適だが、一定以上の大空間を実現するとなると、耐力構造上、柱や壁を付加せざるを得ない。一方、木材のしなやかさと鉄の強靭さを併せ持つ複合梁「テクノビーム」を用いた同工法なら、耐震等級3の高耐震力と間取りの自由度の両立が可能。むろん、気密断熱性能への配慮も万全で、天然木質繊維由来のセルローズファイバーによりHEAT20・G1グレードも楽々クリアした。 　ここ数年仕事と育児に忙殺されていたTさまだが、越してきて間もなく、野菜作りを始めた。安心と快適が担保されたこの家の安らかさが、新たな暮らしの楽しみを広げ始めている。