平屋の上に特徴的な屋根。これはベーハ小屋、通称「タバコ小屋」と呼ばれる構造。屋内の空気が上から抜けていくように、タバコの乾燥に用いられていた構造を応用したという。近代の香川県ではタバコ産業が盛んだったため、古いタバコ小屋が時折姿を見せることがある。お施主さまは「窓を開けて暮らす」オープンな家で、学校のような移動のしやすい設計を希望。大きな窓を複数設けて空気の循環を促すためにベーハ小屋を採用し、直線的な廊下で部屋と部屋をつなげる長屋スタイル。そうして完成した、まるで学校のような内装の平屋。 この家を手掛けた「樹工舎」は、お施主さまの希望になぞらえて「流風の家」と称している。木材が持つ素朴な風合いを生かした、あたたかみのある空間。ウォークインクローゼットも廊下の中に設置することで、無駄のない動線を実現した。窓の数が多いこの家では、日と風という自然を感じながら生活できるため、どこにいても心地が良い。学校の暮らしナンバーを模した部屋のナンバリングは、遊び心もあるあしらいだ。かわいらしさとシンプルさ、無駄のないシステマティックな構造と個性あふれるデザイン。取り入れたい要素を実にうまく調和させた家に仕上がっている。自然豊かな土地の風を受けながら、気持ちの良い日々を送れることだろう。
建築実例データ | |
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樹工舎では、「飽きがこない家づくりを。」というコンセプトのもと、機能性はもちろん、お客さまが長期的にライフスタイルを楽しんでいただけるような家づくりを提案しております。
代表取締役 矢野 智大