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SETOUCHI MINKA featuring HIRAYA SETOUCHI MINKA featuring HIRAYA

建築家が考える瀬戸内の平屋が持つ「機能性」と「デザイン」とは。

瀬戸内で平屋を検討している方へ。瀬戸内の住宅建築に長年取り組んできた建築家の方に、瀬戸内の平屋建築の機能性とデザイン、平屋住宅のメリットなどについて伺いました。

有限会社 住元建築研究所 髙田 一(Hajime Takada)

建築家の髙田 一先生

1947 年岡山県倉敷市生まれ。1972 年東京理科大学大学院修士課程建築学専攻修了。1977 年「住元建築研究所」創設。1981 年「有限会社 住元建築研究所」 設立。住宅、社寺建築を中心に広く設計を手掛ける。
木造が得意で、人と建物と環境に優しい住まいをつくっている。

自然と共生する” 仕掛け” を生かし、五感で感じる居心地の良い住まい。

日本は高温多湿で、台風、地震、水害などの災害も多いですが、瀬戸内は温暖な気候で比較的、自然災害が少ないのが特徴です。古くからの民家は低い中二階風の平屋建て、入母屋造です。現代もその流れをくんでいます。
 住まいづくりは土地選びが第一です。その土地の場所、通風、日照、水捌け、地盤、景色など長く住み続けるためのポイントを押さえておきましょう。平屋建てでは土地の広さも大切です。
 住まいは器であり、中味は生活です。いい住まいをつくっても、いい生活ができるとは限りません。そこで暮らす人の日々の生活のセンスが大切だと思います。
 古来より、瀬戸内の民家は「夏を旨として」つくられてきました。「夏涼しく、過ごしやすい家」を目指し、健康に良い自然を利用した多くの住まいの仕掛けをつくってきました。
 住まいの仕掛けとしては、縁側、濡れ縁、土間(三和土(たたき))、天窓、雨戸、深い軒、庇、スダレ、ピロティなどがあります。その基本は自然に住めることで、その上に設備を活用することかと思います。
 平屋の住まいは、田の字プランで、開放的で通風や採光は存分に取り込んで、涼しく、暖かく、五感で感じられ、居心地の良い住まいです。
 ローコストで石、土、木、わら、竹、瓦、和紙、焼き板、漆喰などの身近にある地産地消の材料を使って、訓練された職人の手でじっくりとつくり、手入れを続けながら50 年、100 年と住み続けられる住まいをつくりたいものです。


神家昭雄建築研究室 神家 昭雄(Akio Kamiya)

1953 年岡山県岡山市生まれ。1974 年国立明石工業高等専門学校建築学科卒業。1987 年「PLUS 建築研究所」設立。1994 年「神家昭雄建築研究室」に改称。国立明石工業高等専門学校建築学科、武庫川女子大学建築学科で非常勤講師を務める。

瀬戸内特有の風土・風景に寄り添い、身近に四季を感じながら暮らせる家。

設計において大切にしていることは、建てる土地の魅力を引き出し、そこの自然や風土・風景に寄り添った建物を創造することです。そう考えたときに浮かび上がるイメージは、大らかな屋根の架かった昔の民家のような平屋の建物です。
 平屋の住まいはヒューマンスケールであり、屋根によって包まれる安心感があります。また、人を優しく迎え入れる構えをしています。室内は屋根のかたちに合わせて天井を高く取ることができ、大らかな空間が生まれます。これは平屋の大きなメリットです。
 リビング、ダイニングなどの人が集う部屋は天井を高く取り、廊下・寝室・子ども部屋などはその用途に応じて低く落ち着いた部屋にすることができます。変化をつくることで住まいにメリハリができ、生活にリズムが生まれます。
 そして平屋は地面に近く、庭と室内が美しく溶け合う住まいがつくれます。身近に四季を感じながら暮らせる喜びは大きいと思います。リビング、ダイニングに設けた大きな窓からは、温暖な瀬戸内の風や陽光を取り込むとともに、庭の風景を室内に引き込み、実際以上の広がりを感じさせるのびやかな住まいとなります。
 また、平屋は2階建てに比べ、バリアフリーはもとより、制約が少なく自由なプランが可能となります。どの部屋からも庭を身近に見ることができます。階段などの動線が少ない分、床面積を抑えることもメリットになります。
 平屋を計画するときに難しいのは、少し大きな住宅になると動線が長くなることです。しかし、移動するときの風景に魅力的なものがあれば、シークエンスは豊かになります。


倉敷建築工房 大角雄三設計室 大角 雄三(Yuzo Osumi) 

1949 年岡山県生まれ。1976 年日本大学理工学部建築学科卒業。1987 年「倉敷建築工房 大角雄三設計室」設立。日本建築学会業績賞などこれまでに数多くの賞を受賞。主な著書に「古民家再生術」(共著/住まいの図書館出版局/ 1995 年)、「エコハウスへの誘い 極寒地から蒸暑地までの試みと検証」(共著/鹿島出版会/ 2014 年)がある。

外部と内部の境界をあいまいにした豊かな自然と一体化する居住空間。

最近立て続けに何軒か平屋のあまり大きくない住宅を設計しました。シンプルな切妻屋根が東西方向に細長く架かっている住宅です。外壁は岡山特産の焼杉板を張っており、瓦屋根と焼杉板でつくられたシンプルな家型が瀬戸内地方の風景によく溶け込んで、少し懐かしさを感じる現代民家となっています。
 年間を通して過ごしやすいこの地域の民家の特徴の一つは、外部と内部の境界をあいまいにし、自然環境と一体化したような形にあると考えています。季節や時間帯に合わせてより快適な環境になるように、自分自身で調節ができる住まいです。温度調節を機械だけに頼るのではなく、豊かな自然を享受しながら快適に過ごせるように自分で家を操作することです。多少の我慢も操作のうちの一つですが。
 平屋の、そして単純な形の住まいは、そのような操作がやりやすいと思います。東西方向を長くした単純な長方形で南面を大きく開放し、内部は1 つの大きな空間の中に必要に応じて仕切り方を工夫し、必要な部屋を点在させます。どこにいても室内の雰囲気が感じられ、そして空間的な広がりも大きくなります。
 風通しも良く、どことなく空気が流れています。そして、少し無駄と思われる場所もありますが、それが「よゆう」となり、「いい加減が良い加減」になります。また各部屋がダイレクトに外部につながるのではなく、緩やかにつなぐことです。障子や廊下、縁側が外部との緩衝帯となるようにすることです。
 寒いときには障子を閉め、暑ければ窓を開け風通しを良くする。縁側で日なたぼっこをする。上手に工夫して住むことをすれば、いくらでも豊かな暮らしができます。

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Book Introduction

  • SETOUCHI MINKA シリーズ第3弾!『美しき瀬戸内の平屋 2023』絶賛発売中!
    2022年10月18日発売 価格1,760円(税込)
    瀬戸内海沿岸の岡山・広島・香川・愛媛・兵庫の各県でマイホームを考えている人たちに役立つ情報に、カルチャーのエッセンスを織り込んだエンターテインメント・マガジン「SETOUCHI MINKA」。2022 年発行のシリーズ第3弾は、2020年の第1 弾で好評を得たテーマ「平屋」に再び焦点を...
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