家の中に入ってまず目を奪われるのは、天井に延びる長大な梁の姿。艶やかな曲がり木は、構造材となってもなお生き物としての力強い生命力を感じさせる。柱や床には新しい無垢材が使われ、部屋中に広がるヒノキの香りが清々しい。Sさまご夫婦は、曾祖父の代から続くこの家を補修しながら、古き良き和の空間と穏やかな暮らしを守り継いできた。良い素材と土台でつくられた古民家は、次の世代に残していける丈夫な構造を持つ。その一方で、ここ数年は経年劣化が進み、きつい段差や隙間風による冷えが苦痛になっていた。「価値ある家をつぶさず残したい」という娘さんの希望もあり、伝統工法の家づくりを得意とし、古民家再生も手掛ける「太田工務店」にリフォームを依頼した。和風建築の端正な美しさはそのままに、床は段差をなくして台所や水回りを改修。現代の家に求める暮らしやすさも見事に実現させている。伝統を生かす職人技で、「この家の魅力が増した」と語る奥さま。長い時を紡いできたこの家は、さまざまな木の命と共につながれ、今もなお成長し続けている。
建築実例データ | |
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高度な技術と美観を誇る、日本の伝統工法による家づくり。私たちは、先人から脈々と受け継がれてきた貴重な技術を継承するとともに、一貫して「良質な建物」を供給し、お客さまの信頼に応え続けてきました。近年ではプレカット加工や機械による仕上げが主流となっていますが、私たちは“手にこだわった仕事”に力を注いでいます。お施主さまと『共に感動できる』『共に歓び合える』仕事を大切にしています。
代表取締役 太田 亨