平屋と聞くとコンパクトで控えめな佇まいを想像するが、この家はそのイメージを大きく覆す。モチーフは“砂漠の中のリゾート地”の異名を持つ、パーム・スプリングスの高級住宅街。旗竿地を生かして南正面におおらかに開かれたLDKは、吹き抜けを思わせる天井高で開放感を増幅。テラスを囲むコの字の間取りは、それぞれ思い思いの時間を過ごす家族を緩やかにつなぎ合いつつ、ヴィラのような、ぜいたくなくつろぎを味わわせてくれる。 冬も比較的温暖で過ごしやすい瀬戸内海地域とはいえ、カリフォルニアのように年中空気がからりとさえる土地柄ではない。夏には湿気を帯びた暑さに閉口することもある。しかしそんな四季の移ろいさえ心楽しく思えるのは、建築と施工、空調設備のエキスパートが三位一体でホテルクオリティーの快適さを実現したこの家だからこそ。樋と水切りから流れ落ちた雨水は、グレーチングへと押し流される。外壁内を通る通気層は湿度の滞留を抑え、室内はもちろん壁体内のコンディションも常に一定に整えてくれる。在来軸組工法の長所を生かしつつ強靭さを増したピン工法の躯体は耐震性・耐久性も申し分なく、住人の心身を煩わせる余地はない。 ここに暮らしてはや2年半。既に一家のシンボルとなったココスヤシが月光を揺らす様を眺めつつ、柔らかな雨音に耳を澄ます平穏と至福。日常の騒がしさから切り離された極上空間も、Tさま一家にとって今やかけがえのない日常の一部となっている。
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私たちは住宅を通して「お客さまに感動を与える」ことをモットーにしています。「こんな家に住みたい」といった漠然としたイメージでも構いませんので、私たちにありのままの想いをぶつけてください。カタチにしていくところから、一つずつ丁寧にお手伝いさせていただきます。
代表取締役社長 田和 草太郎