樹齢100年を優に超えているに違いない現しの太い梁。高い天井の伸びやかな空間で堂々たる風格を見せながら、屋根の加重を一手に引き受けている。艶とコクをまとった古民家ならではの豊潤な香りが、全ての人を至福のひとときへと誘う。築140年の歴史ある大邸宅をリノベーションしたKさま邸は、一歩足を踏み入れるだけで心に染みてくる荘厳さや、陰影のある空間の妙など、今や失われつつある和風建築の良さを大切に守りながら、そこに現代の技術をうまく融合させた住まいだ。 改修を担ったのは松山市の「うずくぼ工房」。昔から受け継がれてきた生活様式がDNAに刻まれている現代の日本人にとって住みやすい家のカタチを追求し、腕利き職人による高度な技術で古民家再生を数多く手掛けてきた同社によって、Kさまの生活スタイルとスケールに合わせた居住空間へと見事に生まれ変わった。 以前に住んでいたご両親により改築や増築がされていた間取りを見直し、田の字に並んだ大小の和室の壁を取り払って、美しい庭園を望む大空間のLDKを創造。天井板を取り払い、梁と床の高さを上げ下げすることで、建物の高さと奥行きも生み出した。室内意匠や設備を一新するだけでなく、安全で快適な居住性にも心を砕いている。柱が石に乗っているだけの石場建てを、新たに基礎を設けて補強したほか、筋交いや金物による壁の補強など耐震性を向上。冬の寒さ対策も、断熱材入りの漆喰壁にしたり、床暖房を埋設することによって大幅に改善している。このほかキッチン・洗面・浴室をスムーズに回遊する家事動線や、水屋のある茶室風の和室、光を呼び込む坪庭の新設など、Kさまの要望が全てカタチに。現代の美しさをまとい生まれ変わったこの家では、代々大切に住み継いできた先祖たちの愛情とともに、Kさまの暮らしが穏やかに紡がれている。
建築実例データ | |
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家づくりは完成までに、デザインや性能、工法といった建築のことはもちろん、ローンや補助金、税金など資金に関することまで、お施主さまの選択肢が多岐にわたります。私たちのご提案は、全てお施主さまの幸せのため。目を凝らし、耳を傾け、頭を働かせ、手を動かす。私たちはお施主さまの幸せな家づくりのために労を惜しまず、汗をかく会社でありたいと思っています。
専務 山本 寿仁