豊かな自然に恵まれた瀬戸内地域は、日本酒造りに必要な米、水、気候の条件がそろっている貴重な地域でもある。こうした良質な環境の下、瀬戸内沿岸の各県には、江戸時代から現代まで脈々と受け継がれている高度な技術で、美味い酒を醸し続ける酒蔵が多く存在。各蔵では、長年培った歴史と伝統を大切に守りつつ、現代の最新技術も取り入れながら、国内外の”酒呑童子”たちに愛される酒造りに精進し続けている。そんな数ある瀬戸内の酒蔵の中から、山口県では最も古い酒造会社である「有限会社堀江酒場」を訪問。その製造現場を拝見しながら、酒造りに対する思いなどを伺った。
創業250年の伝統技法と最新技術を融合した酒造りに精進。
県内最長の清流である錦川と、水をたたえる1,000メートル級の山々をかかえる山口県岩国市錦町。1764年創業の老舗蔵である「堀江酒場」は、豊かな自然に恵まれた山紫水明なこの地に構えられ、豊作の象徴で神の遣いとして崇められていた雀を由来とする「金雀」でその名を知られている。創業から256年、時代を超えて伝えられ続けてきた日本酒の魅力を知ってもらいたいと、家伝の技法と最新の技術とを融合させた酒を世に出し続けている。
毛利家の家臣であった堀江太朗兵衛が創業。屋号は「雀集堂」。華やかに輝く「金雀」の看板が道行く人を誘う。県内の企業と共同開発した、「金雀」と同じ雀を冠した「夢雀(むじゃく)」を展開するなど、昔ながらの技法を大事にしつつ、新しい可能性にも挑み続けている。12代目となる現当主は、日本酒の魅力を伝えるべく品質にこだわった日本酒を世に送り出している。
山紫水明な錦町から世界へと羽ばたく――。真髄の酒を追い続けて。
「私たちは伝統的な日本酒造りを守り続けるとともに、新たな可能性にも挑戦しています。地元はもちろん、国内、海外でも私たちの日本酒を味わってもらえたら」。2017年と2018年には、ロンドンで開催された世界最大規模のワイン品評会である「IWC」のSAKE部門において、同社の「プレミアム金雀」が純米大吟醸の世界一に輝いた。原料は、いつも酒造りで使用している地元錦町の水と、酒米「山田錦」。自分たちが普段から口にしている地元の味だからこそ分かる、素材本来の良さを大事に生かした日本酒で勝負した。
地元、錦町から世界へ。「酒はもっと美味しくなる」という言葉を胸に、守り続けた酒造りの技と信じた地元の素材で、真髄の一滴を今も追い続けている。
江戸時代中期に創業した、山口県下最古の蔵である「堀江酒場」。雄大な山々が続くのどかな地に佇んでいる。銘水百選に選ばれている良質で豊富な水、盆地特有の昼夜の寒暖差が大きな気候は、酒米造りはもちろんのこと、酒造りにも最適な土地である。
代表銘柄 金雀
国内外で高い品質と味が認められている日本酒ブランド「金雀」。熟成酒のような深い味わいが際立ち、そこにまろやかさが加わるのが特徴。
【Editor’s TASTING!】
苦味や酸味は少なめ。爽やかな香りとまろやかで芳醇な旨みのバランスが絶妙。「至福の味わい」がテーマというのも、深くうなずける。
<1764年創業>
有限会社堀江酒場
【製造場】山口県岩国市錦町広瀬6781
0827-72-2515
【販売場】山口県岩国市錦町広瀬6746-1
0827-72-2527
https://www.horiesakaba.com
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