「百名山」「百名勝」「百名瀑」…日本全国に多彩なジャンルの百傑が存在する中、「日本百名道」「日本の道100選」といった道のベスト100も存在することをご存じだろうか。瀬戸内の各県にも「名道」の称号にふさわしい珠玉の道が数多く走っている。愛媛県にも一度は訪れてみたい美しい名道が数多く存在。今回は、西日本最高峰・石鎚山をはじめとする四国山地の雄大な自然を堪能できる、愛媛県のとっておき山岳ドライブルート4路線を走ってみた。
<取材・写真・文/鎌田 剛史>
目次
①石鎚スカイライン(愛媛県道12号 西条久万線)
西日本最高峰、愛媛県にある石鎚山の南側を走る全長約18㎞のドライブウエー。清流・面河川が流れる美しい渓谷・面河渓入口の関門から、遙拝殿のある「土小屋」まで一気に駆け上がるルートだ。開通当初は有料道路だったが1995年に無料開放された。路線のほぼすべてが石鎚国定公園の指定地域内を走っており、人間の手が入っていない雄大な自然に出会える。
石鎚の大自然を全身で感じられるネイチャー・ロード。
荒々しくそびえ立つ霊峰を眺めながら、ツイスティな山道を駆け上がる。
冠岳トンネルを抜けると、石鎚山の最高地点「天狗岳」の雄大な姿がお目見え。ゆるやかなワインディングが続く道沿いには、所々に小さな滝が流れており、大半の区間が木々に囲まれた森林を抜けるようなロケーション。石鎚山周辺の自然を五感で感じる爽快なネイチャー・ドライブを楽しめる。道中の「長尾尾根展望所」では、「日本の滝百選」のひとつにも選ばれている名瀑「御来光の滝」を遠望できる。
終点の「土小屋」でドライブの疲れを癒やして。
走りごたえのあるワインディングを完走した場所にある「土小屋」。眼前に雄大な佇まいを見せる石鎚山、遠方の瀬戸内海、東に目を向ければ、緑の笹原が美しい瓶ヶ森も望める絶好のスポット。疲れた身体を癒してくれる食堂&売店もある。
石鎚スカイライン(愛媛県道12号 西条久万線)
【アクセス】松山道松山ICから国道33号、県道12号経由で約60km
【所在地】愛媛県上浮穴郡久万高原町など 通行時間:4/1~28/7:00~18:00、4/29~5/31/7:00~19:00、6/1~30/7:00~20:00、7/1~10(お山開き期間)/4:00~20:00、7/11~8/31/7:00~20:00、9/1~11/30/7:00~18:00、12/1~3/31まで冬季閉鎖 通行無料
【問い合わせ】0892-21-1192(久万高原町観光協会) https://kuma-kanko.com
②四国カルスト公園縦断線(愛媛県道・高知県道383号)
山口県の秋吉台とともに日本三大カルストの一つに数えられている四国カルスト。愛媛県と高知県をまたぐ標高1,000m~1,500mに広がるカルスト台地の尾根沿いを走る「四国カルスト公園縦断線」は、まるで雲の上を走っているような感動を味わえる「天空の道」として人気のドライブコースだ。
どこまでも続く青空と大草原が織りなす絶景を眺めながら爽快ドライブ。
晴れた日には周囲に広がる四国山地の眺望が素晴らしく、タイミングや気象条件に恵まれれば、満天の星空や幻想的な雲海も拝める。放牧された牛たちがのんびりと時を過ごす牧歌的な雰囲気に心和ませながら、大草原に延びる一本道を走るドライブは気分爽快だ。
豊かな自然を全身で体感できるスポットもいっぱい。
緑の大草原に白い石灰岩が散りばめられた四国カルストを貫く路線沿いには、四国カルストの観光拠点になっている「姫鶴平(めづるだいら)」をはじめ、絶好のビュー・スポットとして人気の「五段高原」、四国カルストで最も高い場所にある「天狗の森」の麓に広がる「天狗高原」など、立ち寄りたいスポットも豊富。車から降りて周辺をゆっくりと散策しながら、高原の豊かな自然で心も体もリフレッシュできる。
四国カルスト公園縦断線(愛媛県道・高知県道383号)
【アクセス】松山道松山ICから国道33・440号、県道383号経由で約75km
【所在地】愛媛県上浮穴郡久万高原町など 24時間通行可能 通行無料 12月~3月上旬まで冬季閉鎖
【問い合わせ】0892-21-1192(久万高原町観光協会) https://kuma-kanko.com
③別子ライン(愛媛県道47号 新居浜別子山線 周辺)
「別子ライン」とは、愛媛県新居浜市の国領川上流部の渓谷の名称で、この地域を走る県道47号のことではなく、河川を中心とした周辺一帯を表す。生子橋から上流にある河又地区周辺までの約10kmにわたり、変化に富む無数の巨岩と清らかな川が流れる美しい風景が続く。
四季折々の渓谷美が楽しめる景勝地を優雅に走る。
「別子ライン」という愛称は、ドイツを流れるライン川の渓谷美にあやかって名付けられたといい、春の桜、夏の深緑、秋の紅葉と、四季折々の渓谷美を楽しめる人気景勝地だ。ルート上には「遠登志(おとし)渓谷」や「鹿森ダム」など見どころスポットが点在している。
日本が近代化の道を猛進した時代の息吹薫る「別子銅山跡」へ。
県道沿いにある「マイントピア別子」は、かつて日本三大銅山のひとつだった別子銅山の跡を活用した観光施設。本館のある「端出場(はでば)ゾーン」には、渓谷を渡る鉱山鉄道や巨大な観光坑道があるほか、砂金採り体験施設や温泉、レストランなどが整備されている。同ゾーンから約11km離れた所にある「東平(とうなる)ゾーン」にも産業遺産群が多数残っており、大自然の中で年季の入った石垣やレンガの建物が佇む光景は「東洋のマチュピチュ」とも称されている。
「マイントピア別子」について詳しくはこちら
別子ライン(愛媛県道47号 新居浜別子山線 周辺)
【アクセス】松山道新居浜ICから県道47号経由で約5km
【所在地】新居浜市国領川生子橋~河又 24時間通行可能 通行無料
【問い合わせ】0897-65-1261(新居浜市運輸観光課) https://www.city.niihama.lg.jp
④法皇スカイライン(四国中央市林道 法皇線)
「法皇スカイライン」は、愛媛県四国中央市の南部を東西に連なる法皇山脈の尾根を走る全長約8㎞の山岳道路。元々は送電用鉄塔の建設道路だったものだとか。ルート沿線にある「翠波高原」は、春の菜の花と夏の早咲きコスモスが丘陵を鮮やかに彩る光景が人気の観光スポット。隣接する標高892mの「翠波峰」からの眺望も素晴らしく、瀬戸内海から雄大な四国山地まで360度の大パノラマが楽しめる。
古代準平原の名残をとどめた「翠波高原」で絶景を堪能。
スタート地点となる「翠波高原」は、標高892mの翠波峰を中心とした約100haの高原で、春には黄金色の菜の花、夏から初秋にかけては可憐なコスモスの花で覆い尽される人気スポット。瀬戸内海の島々や四国山地の雄大な山並みを見渡せる眺望の良さも魅力だ。
うっそうと茂る木々に覆われた“沈黙の林道”。
ルートの道沿いにはうっそうとした木々が茂っており、スカイラインの名が冠されているもののあまり爽快な眺望は望めない。だが、大自然とふれあう森林浴ドライブの行き先にはぴったりの道だろう。道幅が狭くヘアピンカーブが多い道をひたすら進み、土佐北街道の「堀切峠」を越えると道は下りになり、やがて四国中央市街地に至る。冬季は凍結や積雪のため通行困難になることもあるので、タイヤチェーンを携行しよう。
法皇スカイライン(四国中央市林道 法皇線)
【アクセス】松山道三島川之江ICから国道11・319号経由で約26km
【所在地】愛媛県四国中央市金砂町など 24時間通行可能 通行無料
【問い合わせ】0896-77-5003(四国中央市観光協会) http://www.shikochu-kankou.jp
【番外編】UFOライン(いの町道 瓶ヶ森線)
「四国の屋根」とも呼ばれる四国山地・石鎚山系の標高1,300m~1,700mの尾根沿いを、全長約27kmにわたって縫うように走る高知県いの町の町道。道の正式名称は「いの町道瓶ヶ森線」だが、地元では「UFO(雄峰)ライン」「瓶ヶ森林道」の呼び名が一般的。「石鎚スカイライン」の東側に位置し、同道終点の「土小屋」からもアクセスできる。西日本屈指の絶景ドライブコースとして人気を集めており、太平洋から瀬戸内海まで一望できる大パノラマが広がる光景は、まさに一見の価値ありだ。
四国山地の名山「瓶ヶ森」へと続く尾根から眺める感動のパノラマ・ビュー。
周囲には視界を遮るものが一切なく、壮大なパノラマ・ビューが続く。晴れた日には石鎚山、瓶ヶ森、伊予富士をはじめとする雄大な山々のほか、瀬戸内海から太平洋まで一望できる。
霊峰・石鎚山の雄姿を望みながら森林浴ドライブを満喫。
車道沿いの散策もここを訪れる醍醐味の一つ。伊予富士、東黒森、西黒森の頂上へ向かう登山道や、よさこい峠周辺のブナの巨木林などを歩いて散策するのも一興。豊かな植生や清々しい木漏れ日を堪能できる癒やしの空間だ。
UFOライン(いの町道 瓶ヶ森線)
【アクセス】石鎚スカイライン経由、もしくは松山道いよ西条ICから国道11号・194号経由で約25km
【所在地】高知県吾川郡いの町 24時間通行可能 通行無料 12月~3月上旬まで冬季閉鎖
【問い合わせ】088-893-1211(いの町観光協会) https://www.inofan.jp/spot
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