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【瀬戸内の名道】香川県の山岳ドライブルート。

「百名山」「百名勝」「百名瀑」…日本全国に多彩なジャンルの百傑が存在する中、「日本百名道」「日本の道100選」といった道のベスト100も存在することをご存じだろうか。瀬戸内の各県にも「名道」の称号にふさわしい珠玉の道が数多く走っている。香川県にも一度は訪れてみたい美しい名道が存在。今回は、緑深き山々や陽光にきらめく瀬戸内海の美しい景色を堪能しながらドライブを楽しめる香川県の美しい山岳ルート2路線を走ってみた。

<取材・写真・文/鎌田 剛史>

この記事を書いたのは…
瀬戸内民家シリーズの雑誌表紙

瀬戸内海沿岸の岡山・広島・山口・香川・愛媛・兵庫各県で家づくりを手掛ける腕利き工務店の情報に加え、瀬戸内の自然や気候風土、歴史、文化といった、瀬戸内で暮らす魅力を発信しています。さらに詳しく>

①五色台スカイライン(香川県道281号 五色台線)

「五色台スカイライン」は、香川県高松市と坂出市にまたがる五色台にある全長約8kmの展望道路。山名の由来となっている紅峰・黄峰・黒峰・青峰・白峰の5つの峰が北から南に並んでおり、ルートはその間を縫うように走っている。

四季を彩る木々と瀬戸内の美しい景色を眺めながら、ゴキゲンなスカイ・ランを。

丘陵の尾根伝いに走る「五色台スカイライン」。所々から瀬戸内海や東には高松市街、名勝・屋島などが見える。車を停めてじっくり景色を眺めたくなるスポットも多い。通行無料なので何度も往復することも可能だ。
高松市中山町から県道180号で五色台山上へ。「五色台少年自然の家」の入口を過ぎて少し進むと、スカイラインの入口が見えてくる。当初は有料道路だったが1999年に無料開放。ここには料金所のゲートがあった。
ルートは片側1車線で、アップダウンが少なく、カーブも比較的ゆるやかなので終始快適に走行できる。
瀬戸内海の多島美を眺めながら、豊かな自然の中を駆け抜けるドライブは気分爽快。
「大崎鼻展望地」を過ぎると下り坂が続く。眼前に広がる瀬戸内海に向かって駆け降りていくような爽快感が味わえる。

瀬戸内海に面した五色台を南北に走る「五色台スカイライン」は、全体を通して走りやすく、道沿いから見える絶景が魅力的なルート。車やバイクでのドライブに最適で、休日にはドライブを楽しむ家族連れやカップルが訪れる人気スポットとなっている。路線周辺は春に桜、秋には紅葉で彩られ、四季折々の花々を愛でながらドライブを満喫できる。一年を通して何度も訪れたくなる道だ。

ルート上の多彩な絶景スポットをまるっと巡ろう。

「瀬戸内海歴史民俗資料館」のすぐ近くにある絶景ポイント「大崎山園地」。ここには世界的彫刻家の流政之のモニュメント「またきまい」が佇む。「またきまい」とは讃岐弁で「また来てください」のこと。
スカイラインの途中にある宿泊施設「休暇村 讃岐五色台」。日帰り温泉もあり、疲れを癒やすこともできる。周辺には、オートキャンプ場などを備えた「五色台ビジターセンター」もある。
休暇村から見下ろす景色も素晴らしい。瀬戸内海をはじめ、坂出市の市街地や番の州工業地帯、西讃地域の田園風景などを見渡せる。
瀬戸内地域の暮らしと文化について知識を深められる博物館の「瀬戸内海歴史民俗資料館」。館内には昔の木造船や漁業・農業の道具などが多数展示されており、無料で観覧できる。「公共建築百選」にも選ばれた石積みの建物も一見の価値ありだ。屋上には展望台もある。
「大崎山園地」 からは、おむすび型の無人島「大槌・小槌」が浮かぶ備讃瀬戸を一望。対岸の岡山県に向かって延びる「瀬戸大橋」も望める。美しい夕日が拝めるスポットとしても人気。
スカイラインは高松・坂出市境の「大崎鼻」で終点。そのまま海沿いを走る県道16号のドライブも一緒に楽しめる。
五色台の先端部にある「大崎鼻」も見晴らしの良いスポット。休日にはドライブやツーリングに訪れた大勢の人たちでにぎわう。

道中には「大崎山園地」「黒峰園地」「青峰園地」などの展望スポットが点在し、瀬戸内海沿岸の生活文化や民族などに関する資料を展示する「瀬戸内海歴史民俗資料館」や、宿泊・温泉施設を備えた「休暇村 讃岐五色台」からも瀬戸内海の多島美と瀬戸大橋の美しいロケーションを一望できる。五色台の先端にある大崎鼻から、海岸線の絶景ルートである県道16号と接続する。

「休暇村 讃岐五色台」について詳しくはこちら

「瀬戸内海歴史民俗資料館」について詳しくはこちら

五色台スカイライン(香川県道281号 五色台線)

【アクセス】高松道高松西ICから県道176・161号経由で約16km
【所在地】香川県高松市亀水町、坂出市王越町、青海町など 24時間通行可能 通行無料 
【問い合わせ】0877-45-1122(坂出市観光案内所) https://www.sakaide-kankou.net

②屋島スカイウェイ(高松市道 屋島東町38号線)

香川県の観光名所としても知られる高松市の屋島の麓と頂上を結ぶ約3.7kmの道路。豊かな自然に包まれ、四季折々の表情が楽しめるドライブコースだ。かつては「屋島ドライブウェイ」という有料道路だったが、高松市の取り組みにより、2018年に「屋島スカイウェイ」として無料開放された。

高松市のランドマーク「屋島」を軽快に疾走する絶景ルート。

標高293mの溶岩台地「屋島」を軽快に走るドライブウエー。高松市の代表的な観光スポットのひとつとして知られ、多くの観光客が訪れている。
途中には、源平合戦の屋島古戦場を眺望できる展望スペースが2ヵ所設けられている。
実際は上り坂なのに、目の錯覚で下っているように見える「ミステリーゾーン」。
春には沿道に桜が美しく咲き誇り、桃色のトンネルを走っている感覚に。
山上駐車場付近からの眺め。

東斜面にある2カ所の展望所からは、源平合戦の屋島古戦場や五剣山などを見下ろせる。道中には、実際には上っているのにもかかわらず、目の錯覚によって下っている感覚になる通称「おばけ坂」「幽霊坂」が存在。一帯は「ミステリーゾーン」と呼ばれ、このルートの見どころのひとつになっている。

山頂では歴史と伝説にまつわるスポットをゆっくりと散策。

山上には四国八十八カ所の第84番札所の「屋島寺」があり、巡礼のお遍路さんの姿も多く見られる。
境内には屋島の伝説「太三郎狸」を祀る「蓑山大明神」が鎮座。太三郎狸は日本三大狸にも数えられ、ジブリ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」に登場するキャラクターのモデルにもなった。
唐と新羅の侵攻に備え、667年に中大兄皇子が築いたとされる古代山城「屋嶋城」の復元遺構。うず高く積まれた石の城壁は迫力満点。
「屋嶋城跡」の西尾根展望台からは、高松市街を見渡せる。
山上を周回する遊歩道を歩いていると、見晴らしの良い展望スペースが点在。源平の古戦場「檀ノ浦」をはじめ、旧庵治町の五剣山や、さぬき市の市街地などを一望できる。
屋島寺近くの「獅子の霊厳」では女木島や男木島をはじめとする瀬戸内海の多島美や、高松市のサンポートを見下ろす美しい景色が広がっている。夕日・夜景スポットとしても人気を集めている。

山上周辺には瀬戸内海の島々や高松市を一望できる展望台のほか、「屋嶋城」の城門遺構、「屋島寺」「新屋島水族館」などの観光スポットがあり、休日には家族連れなどでにぎわっている。

「屋島寺」について詳しくはこちら

「古代山城屋嶋城」について詳しくはこちら

屋島スカイウェイ(高松市道 屋島東町38号線)

【アクセス】高松道高松中央ICから国道11号経由で約9km
【所在地】香川県高松市屋島中町~屋島東町 6:30~22:00 通行無料(山上展望台は駐車料金¥300) 
【問い合わせ】087-839-2417(高松市観光交流課 観光エリア振興室) https://www.yashima-navi.jp

【番外編】酷道イッキュウサン(一般国道193号)

昭和中期に完成した「大釜隧道」は、全長102m、幅員4.2m、高さ4.5mの手彫りトンネル。ワイルドなたたずまいで口を開けている。

乗用車の通行困難など、酷い状態の国道を揶揄した「酷道」が近年話題。四国では国道439号と193号が全国屈指の酷道として有名で、一部界隈では番号を文字ってそれぞれ「ヨサク」「イッキュウサン」と呼ばれている。香川県高松市から徳島県海陽町に至る国道193号の中でも、徳島県神山町~那賀町の区間はスリル満点なワイルド・ロード。

本当にこれが国道!? 剣山系を走るワイルド&スリリングな道。

つづら折りの細く急こう配の山道をひたすら上る。本当にこれが国道なのだろうかと疑ってしまうほど過酷な山間ルートだ。
昭和時代にタイムスリップしたかのような感覚に陥るレトロな集落を通過し、いよいよ本格的な峠道が始まる。
神山町と那賀町の町境となる土須峠の「雲早トンネル」。
土須峠から雄大に横たわる剣山系の山々を遠望。
道沿いに流れる那賀川。ガードレールがなく走行にヒヤヒヤする箇所も。
道中から「日本の滝百選」にも選ばれている「大釜の滝」が見える。このすぐ近くには岩盤をくり抜いただけのワイルドなトンネル「大釜隧道」もある。
ルート上の見どころのひとつ「大轟の滝」は落差約20mで、水が3段になって落下する徳島の名爆。周辺に駐車場はないので、待避スペースで車窓からの鑑賞を。

剣山系を越えるつづら折りの峠道は対向車とのすれ違いが難しく、切り立った岩肌が車のすぐ横に迫る。巨大な岩盤を素掘りしたトンネルの大釜隧道や、大釜の滝、大轟の滝など、四国山地の雄大な自然を堪能できるルートだが、運転には細心の注意が必要。不安を感じたなら無理せず引き返そう。

酷道イッキュウサン(一般国道193号)

【アクセス】起点の高松市中間町交差点から南下し徳島県吉野川市で一旦国道192号に入り、山川町瀬詰交差点の南から再び国道193号へ
【所在地】徳島県名西郡神山町~那珂郡那賀町 24時間通行可能 ※悪天候時は通行止 通行無料

【問い合わせ】088-654-2211(国土交通省四国地方整備局徳島河川国道事務所) http://www.skr.mlit.go.jp/tokushima

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