実店舗を持たず、全国に幅広く盆栽を広めようという事業を展開している企業、株式会社妙興。大手通販サイトAmazon Japanにも出店しており、テレビCMにも抜擢されたことでも話題になった。
妙興の「盆栽」事業へかける思いや、今後の展望を聞いた。
2016年から高松に移転し、産地と密着した盆栽事業を展開している「妙興」。現在従業員は11名で、社長の辻本さんを除く全員が子育て世代の女性だ。年齢層の高い男性が主体となっている盆栽業界とジェンダーバランスを反転させることで、固定概念からの脱却を試みているという。この試みは職場環境だけでなく、提供しているサービスでも実践しているという。 盆栽の専門店である「盆栽妙」はインターネット販売を主軸としており、妙興の提供するサービスの代表格だ。さらには盆栽についての知識やニュースなどを学べる「盆栽の学校」なども運営。インターネットを主軸にすることで、場所に縛られることなく、全国の盆栽愛好家たちに楽しんでもらえるという利点も。
また、実店舗を持たないからこそ、購入者とのコミュニケーションは大切にしているという。メールや電話で相談可能な環境を整えたり、教材を用意したりメールマガジンを配信することで、購入後の不安を解消できる。植木とは生育方法や手入れ方法が異なる上に、近所にグリーンショップはあっても盆栽園がないという地域も多く、遠方・初心者でも安心して盆栽との暮らしを楽しむことができる。
店長の高村さんは、盆栽の魅力について「盆栽は、大自然を目の前にした時のように感情が揺さぶられるんです。これは実際に触れないとわからないものなので、ぜひ一度盆栽に触れてみてください」と話す。戦後に訪れた「盆栽ブーム」以後、盆栽の普及率が下がったこともあり、実際に盆栽を見たことがない人が増えた現状についても「もったいない」ともらす。
盆栽の生育には年単位の長い時間を要し、日々の水やりを欠かすと枯らしてしまうこともあるので、在宅ワーカーや定年退職後の盆栽愛好家を増やすことが必要だという。さらに、自分が時間とお金に余裕を持てたときに趣味として始めようという選択肢を知ってもらうために、若い層の認知度も今以上に必要だという。
今後は、盆栽について学びや体験ができる場を提供したいという展望も語ってくれた。さらなる盆栽の発展には欠かせない存在となるだろう。
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