香川県の山は標高が低く、短時間で登れる山がほとんど。讃岐平野には、昔話の絵本などに登場するような二等辺三角形の「おむすび山」があちらこちらに点在しており、のどかな讃岐の田園風景を彩っている。それぞれの山は独立峰が多く、山頂からの見晴らしは格別だ。そんな香川県にも徳島県との県境部には標高1,000mを超える高峰も存在している。バラエティ豊かな香川県の山から、オススメの登山スポットを紹介。
<取材・文/鎌田 剛史>
目次
気軽に登れる香川の山から、讃岐平野や瀬戸内海の美しい景色を堪能。
全国で一番面積が狭く、県土のほとんどを平野部が占める香川県の山といえば、讃岐平野のあちらこちらにポコポコと盛り上がる、まるで昔話の絵本などに登場するような「おむすび型」の山がイメージとして浮かぶ。そのほとんどの山が低山で、登山というよりは里山歩きを楽しむ感じで、年齢を問わず誰でも気軽に足を延ばせる。登山道や山頂からは、風光明媚な讃岐平野や、瀬戸内海の美しい風景を望める。
低山が多い香川県だが、県南部、徳島県との県境に横たわる讃岐山脈には、県内最高峰の竜王山(標高1,059m)を中心に、大滝山、雲辺寺山などの標高1,000m級の山々が東西に並んでいる。高峰とはいえおだやかな山容で、登山道も整備が行き届いているので登りやすい。
低山の多い香川にも登りごたえのある山は存在。香川県のおすすめ名山10座
竜王山(りゅうおうざん)
◎標高:1,059m ◎所在地:香川県高松市・まんのう町/徳島県美馬市 ◎名山選定:四国百名山
香川県最高峰。讃岐山脈核心部の双耳峰。
香川県南部に連なる讃岐山脈の最高峰である竜王山。2つの峰があり、標高が最も高い西側の峰は阿波竜王、そこから北東へ約600mのところにある1,058mのピークが讃岐竜王と呼ばれている。香川県側からの登山道は高松市塩江町にある奥の湯ふれあいの里をスタートし、阿波竜王、讃岐竜王を経て相栗峠へと下山する周回コースのほか、南の三頭山方面から山頂へ至るルートのほか、まんのう町川奥からも登ることができる。
問い合わせ/087-897-0133(高松市塩江支所)
香川県最高峰「竜王山」への登頂リポートはこちら
屋島(やしま)
◎標高:292m ◎所在地:香川県高松市 ◎名山選定:四国百名山
源平合戦の古戦場としても有名な高松市のシンボル。
屋根のような形をした溶岩台地で、「船隠し」「祈り岩」など源平合戦の逸話を伝える史跡も多い。山頂まではドライブウエーが走り、大勢の観光客が訪れている。登山コースも複数あるが、未整備の箇所もあるので注意が必要。
問い合わせ/087-839-2416(高松市観光交流課)
https://www.yashima-navi.jp
飯野山(いいのやま)
◎標高:421m ◎所在地:香川県丸亀市・坂出市 ◎名山選定:四国百名山・新日本百名山
香川の田園風景を彩る「おむすび山」の代表格。
讃岐平野に多く見られるおむすびのような形をした里山の代表的存在で、「讃岐富士」と呼ばれ親しまれている。丸亀市と坂出市から計3本の登山道があり、いずれも整備されていて登りやすく、年齢を問わず気軽に登山を楽しめる。
問い合わせ/0877-24-1392(丸亀市 スポーツ推進課)
https://www.city.marugame.lg.jp
星ヶ城山(ほしがじょうやま)
◎標高:816m ◎香川県小豆島町 ◎名山選定:四国百名山
日本三大渓谷美の1つ「寒霞渓」を有する山。
小豆島中央部にある島内最高峰。西峰と東峰の双耳峰で、最高地点は東峰。西峰には香川を代表する観光地の1つ「寒霞渓」があり、奇岩怪石の迫力ある絶景を望みながら山歩きを堪能できる。山頂へはロープウエーや車でも登れる。
問い合わせ/0879-82-1775(小豆島観光協会)
https://shodoshima.or.jp
我拝師山(がはいしさん)
◎標高:481m ◎所在地:香川県善通寺市 ◎名山選定:四国百名山
弘法大師ゆかりの地「五岳山」の最高峰。
弘法大師空海の修行地としても名高い。西側麓の「出釈迦寺」から「禅定寺」に登り、境内を東に通り抜けるコースが一般的な登山コース。「出釈迦寺奥の院」を経て、岩がむき出しの急峻な坂道を登り切ると山頂に着く。
問い合わせ/0877-63-6328(善通寺市 生涯学習課)
https://www.city.zentsuji.kagawa.jp
紫雲出山(しうでやま)
◎標高:352m ◎所在地:香川県三豊市 ◎名山選定:四国百名山
「瀬戸内の顔」として世界に発信された庄内半島の麗峰。
庄内半島にある山。浦島太郎が玉手箱を開け、出た白煙が紫色の雲になって山にたなびいたという伝説も。大浜登山口と半島の突端を結ぶ道は急坂のアップダウンがあり、山歩きの醍醐味を楽しめる。山頂では360度の大展望を堪能できる。
問い合わせ/0875-56-5880(三豊市観光交流局)
https://www.mitoyo-kanko.com
大滝山(おおたきさん)
◎標高:946m ◎所在地:香川県高松市/徳島県美馬市 ◎名山選定:四国百名山
讃岐山脈では唯一のブナ林が美しい高松の秘境。
讃岐山脈で3番目に高く、相栗峠を挟み「竜王山」と対峙する。「大瀧寺」や「西照神社」のある山頂付近一帯はブナやケヤキなどが豊かで登山者も多い。麓の「大滝山県民いこいの森」にはキャンプ場や宿泊施設が整備されている。
問い合わせ/087-893-0345(NPO法人しおのえ)
https://www.ikoinomori.jp
大川山(だいせんざん)
◎標高:1,042m ◎所在地:香川県まんのう町/徳島県三好市 ◎名山選定:四国百名山
「讃岐山脈の盟主」とも称される香川第二の高峰。
讃岐平野から眺めた山容が極めて美しいと評される名山。貴重な自然が豊富に残り、多くの昆虫や野鳥などが生息している。古より雨乞いと安産の神として崇められてきた霊山であり、山頂には「大川神社」が祀られている。
問い合わせ/0877-73-0105(まんのう町 産業経済課)
https://www.town.manno.lg.jp
女体山(にょたいさん)
◎標高:774m ◎所在地:香川県さぬき市・東かがわ市 ◎名山選定:四国百名山
四国八十八ヶ所結願の地にそびえる艶めかしい名の山。
南山麓には四国八十八ケ所結願の「大窪寺」があり、多くのお遍路さんや参拝客でにぎわう。87番札所「長尾寺」から女体山の山頂を越えて「大窪寺」に至る遍路道が整備されており、ハイキングコースとしても人気を集めている。
問い合わせ/087-894-1114(さぬき市 商工観光課)
https://www.city.sanuki.kagawa.jp
雲辺寺山(うんぺんじさん)
◎標高:927m ◎所在地:香川県観音寺市/徳島県三好市 ◎名山選定:四国百名山
四国霊場で最高峰に位置する「雲辺寺」のある山。
山頂付近の「雲辺寺」は、四国八十八ヶ所霊場でもっとも高い標高約900mにあることから「四国高野」とも呼ばれている。展望台からは讃岐平野や瀬戸内海などを一望。近年インスタ映えスポットとして人気の「雲辺寺山頂公園」もある。
問い合わせ/0875-23-3933(観音寺市 商工観光課)
https://www.city.kanonji.kagawa.jp
<Tips>香川県にある「四国百名山」
「四国百名山」は、四国4県にある名山100座で、2000年に四国百名山会によって選定された。そのうち香川県内から選定されている名山は11座ある。
■1.屋島(やしま)高松市 標高/292.0m ■2.飯野山(いいのやま)丸亀市・坂出市 標高/421.7m ■3.大麻山(おおさやま)三豊市・善通寺市 標高/616.3m ■4.我拝師山(がはいしさん)善通寺市 標高/481.0m ■5.紫雲出山(しうでやま)三豊市 標高/352.2m ■6.星ヶ城山/寒霞渓(ほしがじょうさん/かんかけい)小豆島町 標高/816.1m ■7.女体山(にょたいさん)さぬき市 標高/774.0m ■8.竜王山(りゅうおうざん)高松市・まんのう町 標高/1,059.8m ■9.大滝山(おおたきさん)高松市 標高/946.0m ■10.大川山(だいせんざん)まんのう町 標高/1,042.8m ■11.雲辺寺山(うんぺんじやま)観音寺市 標高/927.0m
<Tips>香川県には日本一低い山がある。
◎御山(みやま) 東かがわ市/標高3.6m
東かがわ市の「白鳥神社」の境内には、標高3.6mの「御山」があり、「日本一低い山」の石碑が立つ。「日本一低い山」を掲げる山は、徳島県の「弁天山」や、大阪府の「天保山」など全国に数カ所存在。その定義はさまざまで、正式なランキングは難しいそうだ。ちなみに国土地理院はここが山であるとは定めておらず、地図にも記載されていない。
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香川県の名山に行ってみよう。
香川県の山といえば、昔話に出てくるような「おむすび型」の山。代表格の「飯野山」をはじめ、讃岐平野のあちらこちらにポコポコと点在し、のどかな田園風景を織りなしている。誰もが気軽に里山歩きを楽しめる低い山が多い一方、南部には徳島県と接する讃岐山脈が連なり、登山の醍醐味を味わえる高峰がそびえるなど、上級者から初心者までレベルに合わせた登山を楽しめる。豊かな自然の息吹を感じ、絶景を眺めながら、あなたにとって最適なLiving with Natureを見つけよう。
ただし、登山の準備や心得は事前にしっかりと理解・把握しておくことも忘れずに。
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