岡山県には登山初心者から上級者まで楽しめる「名山」と呼ぶにふさわしい山が多数存在する。そのラインアップは、標高1,000mを超える急峻な高峰から、地元住民の日常に溶け込み、誰もが気軽に登れる里山まで、実にバラエティ豊か。そんな岡山県の名山の中から、オススメの山々を紹介。
<取材・文/鎌田 剛史>
目次
県土の南北で全く違った山容を見せる岡山県の山。
中国地方の東端に位置する岡山県。県土の北部は中国地方を東西に貫く中国山地が横たわっており、南部は瀬戸内海に接している。その地形は北部の中国山地から南部の瀬戸内海に向かって、階段状に標高が低くなっていることから、岡山県内の山は北部と南部で違った様相を見せている。
鳥取県と接する県北部の中国山地は、県内最高峰の後山をはじめとする標高1,000~1,300mの山々が鎮座し、本格的な登山が楽しめる山岳エリアだ。県内でも指折りの観光スポット・蒜山高原の後ろに雄大な姿を見せる「蒜山三座」など、登山愛好家に人気の山がたくさんある。
中国山地の南側に広がる吉備高原がある県中央部には、標高300~600mの山が多くを占めている。さらに南へ下って瀬戸内海沿岸の平野部に至ると、標高200~300mの低山が多くなり、誰もが気軽にハイキングを楽しめるスポットが多い。
一度はアタックしたい。岡山県のおすすめ名山14座。
後山(うしろやま)
◎標高:1,344m ◎所在地:岡山県美作市/兵庫県宍粟市 ◎ 名山選定:近畿百名山/中国百名山
岡山県最高峰。眺めてよし、歩いてもよし。
中国山地の大展望とチシマザサの美しい回廊。
岡山県北東部の美作市と、兵庫県宍粟市との境にそびえる後山。古より修験道の霊場として栄えた山で、標高1,000m付近に建てられている奥ノ院行者堂本堂への山道は現在も女人禁制。岡山県西粟倉村のダルガ峰林道の途中にある登山口から、駒の尾山~鍋ヶ谷山~船木山を経て後山に至る後山連山縦走が人気のコース。全体的に登山道がしっかりと整備されており、初心者でも安心して登れるのでおすすめだ。このほかにも両県の麓から頂上を目指すさまざまなルートがある。
問い合わせ/0868-72-6693(美作市観光政策課)http://www.city.mimasaka.lg.jp/kanko/spot/nature/koyo/1572306588773.html
岡山県最高峰「後山」への登頂リポートはこちら
鬼城山(きのじょうさん)
◎標高:397m ◎所在地:岡山県総社市 ◎名山選定:中国百名山
未だに歴史が解明されていない「鬼ノ城」が築かれた山。
大和朝廷によって国の防衛のために築かれたと考えられる古代山城。歴史書には一切記されておらず、その歴史は謎のまま。現在は史跡調査や整備・復元を行っており、角楼跡や城門跡がある。復元された西門からの景色が素晴らしい。
問い合わせ/0866-99-8566(鬼城山ビジターセンター)
https://www.city.soja.okayama.jp
熊山(くまやま)
◎標高:508m ◎所在地:岡山県赤磐市 ◎名山選定:中国百名山
「熊山遺跡」をはじめとする歴史遺産が点在。
古くからの霊山参道が残り、東西南北から登ることができる。林道も整備されており、山頂付近まで車で行くことも可能。山頂には樹齢700年とされる天然杉の巨木をはじめ、「熊山神社」「熊山遺跡」などが点在している。
問い合わせ/086-955-6175(赤磐市観光協会)
https://www.akaiwa-kankou.jp
荒戸山(あらとやま)
◎標高:761m ◎所在地:岡山県新見市 ◎名山選定:中国百名山
まるで鍋を伏せたような山容が美しい山。
「鍋山」「阿哲富士」とも呼ばれる。コナラ、イヌシデをはじめ巨木の原生林が残っており、森林浴を味わいながら気軽に山登りが楽しめる。南山麓には水の神を祀る「荒戸神社」があり、参道には樹齢150年以上の杉並木が続いている。
問い合わせ/0867-92-6103(阿哲商工会)
https://www.atetsu.net
花見山(はなみやま)
◎標高1,188m ◎所在地:岡山県新見市/鳥取県日南町 ◎名山選定:中国百名山
新見市最高峰。高梁川水源の奥座敷。
岡山・鳥取両県にまたがる山。山頂までは岡山県の「いぶきの里」からと、鳥取県の「花見山スキー場」から登れる。「下の谷の滝」など見所も豊富にあり、大自然の息吹を全身で体感できる。山頂から眺める360度の景色は素晴らしい。
問い合わせ/0867-72-1177(新見市観光協会)
http://niimi.gr.jp
三国山(みくにがせん)
◎標高:1,129m ◎所在地:岡山県鏡野町/鳥取県鳥取市・三朝町 ◎名山選定:中国百名山
広大なブナの原生林が残る自然豊かな山。
鳥取県との県境に位置する山。山名はかつて因幡国、伯耆国、美作国の国境であったことに由来する。岡山側の「南嶺」、鳥取側の「北嶺」の2つの頂がある。山頂付近にはブナ林があり、樹齢約200年の大木が連なる。
問い合わせ/0867-92-6103(阿哲商工会)
https://www.atetsu.net
櫃ヶ山(ひつがせん)
◎標高:953m ◎所在地:岡山県真庭市 ◎名山選定:中国百名山
「湯原富士」とも呼ばれる秀麗な山容。
8合目付近にはブナの原生林があり、多くの植物や野鳥が生息。地域住民に信仰されている天狗様の御堂を取り巻く鎮守の森として守られている。山頂からは湯原温泉街や蒜山三座を見下ろせ、西に星山へと続く尾根が延びている。
問い合わせ/0867-42-1033(真庭市 産業政策課)
https://www.city.maniwa.lg.jp
滝山(たきやま)
◎標高:1,196m ◎所在地:岡山県奈義町/津山市 ◎名山選定:中国百名山
原生林に覆われ、幻想的な雰囲気に包まれた山。
太古からそのままの姿を保つ原生林は、春の新緑や秋の紅葉シーズンになると一層の美しさをまとう。中腹には「滝神社」が鎮座しており、冬にはその背後に流れる「奥の院滝」の氷瀑が見られ、神秘的な光景が広がる。
問い合わせ/0868-36-7311(奈義町観光案内所)
https://www.town.nagi.okayama.jp
那岐山(なぎせん)
◎標高:1,255m ◎所在地:岡山県奈義町/鳥取県智頭町 ◎名山選定:日本三百名山・中国百名山
四季折々の豊かな美しい自然に恵まれた秀峰。
古くは「那岐の仙」と呼ばれ、神話のイザナギ、イザナミがこの峰に君臨したという伝説も残る。季節ごとに自然と調和した雄大な姿を見せ、遮るものが何もない山頂からは兵庫県の氷ノ山や鳥取県の大山、日本海まで見渡せる。
問い合わせ/0868-36-7311(奈義町観光案内所)
https://www.town.nagi.okayama.jp
津黒山(つぐろせん)
◎標高:1,117m ◎所在地:岡山県真庭市・鏡野町/鳥取県三朝町 ◎名山選定:中国百名山
蒜山三座や大山を望む見事なロケーション。
なだらかで美しい山容。山頂付近には笹の草原が広がり、かつては和牛の放牧が行われていた。登山道が整備されており、山頂までは約1時間。蒜山三座や大山の雄姿を望める。現在は登山口に通じる道が土砂崩れのため通行止め。
問い合わせ/0867-42-1033(真庭市 産業政策課)
https://www.city.maniwa.lg.jp
毛無山(けなしがせん)
◎標高:1,219m ◎所在地:岡山県新庄村/鳥取県江府町 ◎名山選定:中国百名山
毛無山ブナとカタクリの花で知られる山。
登山道から山頂にかけてブナの原生林のほか、約150種以上の植物が確認されるなど、豊かな自然が残る。全国でも数少ないカタクリの花の群生地としても知られ、花が咲く4月下旬から5月上旬には多くの登山客が訪れる。
問い合わせ/0867-56-2626(新庄村役場)
http://www.vill.shinjo.okayama.jp
三平山(みひらやま)
◎標高:1,009m ◎所在地:岡山県真庭市 ◎名山選定:中国百名山
蒜山高原の西端に佇む独立峰。
登山口から約45分で頂上まで登れる。登山道は整備が行き届き歩きやすいので、初心者や家族連れにも人気。頂上からは360度の大パノラマを堪能できる。麓にある「三平山森林公園」ではバーベキューやキャンプも楽しめる。
問い合わせ/0867-42-1033(真庭市 産業政策課)
https://www.city.maniwa.lg.jp
皆ヶ山(みながせん)
◎標高:1,159m ◎所在地:岡山県真庭市/鳥取県倉吉市 ◎名山選定:中国百名山
コナラやブナに覆われた水源豊かな山。
「蒜山高原キャンプ場」から鳥取県境に向かって延びる登山道を、昔の軍馬育成場の名残である土塁に沿って進む。うっそうとしたコナラ・ブナ林を通過したり、尾根下りがあったりと変化に富んだコースで、山歩きの醍醐味を味わえる。
問い合わせ/0867-42-1033(真庭市 産業政策課)
https://www.city.maniwa.lg.jp
上蒜山・中蒜山・下蒜山(かみひるぜん・なかひるぜん・しもひるぜん)
◎標高:上蒜山1,202m・中蒜山1,123m・下蒜山1,100m ◎所在地:岡山県真庭市/鳥取県倉吉市・江府町 ◎名山選定:日本二百名山・新日本百名山・中国百名山
蒜山地域を象徴する3つの山。岡山屈指の観光地。
3山を総称して「蒜山三座」とも呼ばれる。いずれの山も樹林帯や急登の坂道などタフなルート。上蒜山の山腹から山裾にかけての扇状地は採草放牧地として利用され、雄大で牧歌的な風景が広がる。三座の縦走登山も人気。
問い合わせ/0867-42-1033(真庭市 産業政策課)
https://www.city.maniwa.lg.jp
<Tips>「岡山」という山はある?
◎岡山城(おかやまじょう) 岡山市/標高19m
「岡山県」の県名は県庁所在地の「岡山市」に由来する。その市名の由来となった「岡山」とは「岡山城」が築かれた小さな丘のこと。1590年に宇喜多秀家が城の本丸と天守閣を築いた丘の名前が「岡山」だったことから「岡山城」と名付けられ、その後に形成された城下町も含め、周辺一帯を「岡山」と呼ぶようになったといわれている。ちなみに岡山城の立っている場所は標高19m。
詳しくはこちら
岡山県の名山に行ってみよう。
南北で大きく様子が異なる岡山県の山。北部には標高1,000mを超える雄大な中国山地が広がり、南部には美しい瀬戸内海を望める標高の低い穏やかな山が点在している。登山上級者から初心者・家族連れまで楽しめるバラエティ豊かな山がいっぱいだ。豊かな自然の息吹を感じ、絶景を眺めながら、あなたにとって最適なLiving with Natureを見つけよう。
ただし、登山の準備や心得は事前にしっかりと理解・把握しておくことも忘れずに。
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