GO! GO! SETOMIN GIRLS! Stroll through the Historical Streets.
古き良き風情が今も残る「伝統的建造物群保存地区(伝建地区)」。数々の歴史的建造物は観光スポットとしてもはやメジャーだが、歩き方や目の付けどころ次第でさらなる魅力をうかがい知ることができる。はては家づくりのヒントも見つかるかもしれない。瀬戸内エリア各県の伝建地区に秘められた魅力を再発見しに、あらためてゆっくりと散策してみよう。
<取材・文/鎌田 剛史 写真/鈴木トヲル>
たつの市龍野 伝統的建造物群保存地区
兵庫県たつの市 ●種別/商家町・醸造町 ●選定/2019年 ●面積/15.9ha
兵庫県の南西部に位置するたつの市。原生林に包まれた鶏籠山や、清流・揖保川などをはじめとする豊かな自然に抱かれた閑静なこの街は、日本三大そうめんのひとつに挙げられる「揖保乃糸」や、淡口醤油の一大産地として全国にその名を馳せている。龍野城の城下町として栄えた龍野地区には、江戸時代の風情が薫る町並みが現存。童謡「赤とんぼ」の作詞者・三木露風の生誕地でもあるこの町を歩けば、ノスタルジックな町並みの情景に心癒されるとともに、大人になるにつれて忘れかけていた、幼き日の好奇心や感動にも巡り会える。
たつの市龍野 伝統的建造物群保存地区ってどんなところ?
6世紀末ごろには町並みが形成されていたとみられ、江戸時代には龍野城下の城下町となり、西播磨地方の政治経済の中心地として栄えた。17世紀後半ごろからは醤油醸造が始まり、近世以降にかけて醤油の一大産地へと発展。軒が低く大壁造の古式な町家や、醤油醸造の重厚な土蔵などが現存し、江戸時代の町割もそのまま残っている。JR本竜野駅から徒歩約15分。詳しくはこちら
龍野の町並み見どころ5選
①情緒あふれる「播磨の小京都」。
街の区画や道幅は江戸時代から変わっておらず、閑静な城下町の懐かしさが残る。街は山側から揖保川に向かって扇状に開けており、龍野城跡から南北に延びる大手筋の西側に武家屋敷、東側に町人の街が形成されていたそう。本丸御殿や白亜の城壁などを復元した「龍野城」や、「武家屋敷史料館」といった、昔日の姿を今に伝える歴史的建築も保存されている。
②「淡口醤油」で栄えた町の名残、醤油蔵の煙突がシンボル。
龍野は淡口醤油の発祥の地。四角い煙突がそそり立つ旧醤油蔵が今も残り、風格に満ちた佇まいを見せている。「たつの市 醤油の郷 大正ロマン館」「うすくち龍野醤油資料館」では、江戸時代からの貴重な用具や資料などを展示。町の経済を支えた醤油醸造業の歴史と繁栄に思いを馳せてみては。
【たつの市 醤油の郷 大正ロマン館】
☎0791-72-8871 詳しくはこちら
【うすくち龍野醤油資料館】
☎0791-63-4573 入館料:10円 詳しくはこちら
③童謡「赤とんぼ」の生みの親・三木露風の生家
龍野が生んだ偉大な詩人であり、童謡「赤とんぼ」の作詞者としても知られる三木露風が6歳まで暮らしたこぢんまりとした平屋の生家も残っている。明治時代の生活の様子を垣間見ることができる。
【三木露風生家】
☎0791-62-0553 詳しくはこちら
④「童謡の小径」で蘇る童心。
町並みから少し足を延ばしたところにある「龍野公園」には、三木露風のふるさとであることにちなみ、「童謡の小径」と名付けられた散策道がある。道中には「赤とんぼ」をはじめとする童謡の歌碑があり、近づくとその音色が流れるという仕掛けが。無邪気に走り回った幼き日の思い出にしばし浸るのも◎。
⑤本場そうめんの滑らかな舌触りを堪能。
「揖保乃糸」で有名な手延そうめんも龍野の特産品。「龍野城」のすぐそばにある「霞亭」は、優しい喉越しのにゅうめんが看板メニューのそうめん専門店。本場の味わいを楽しんで。
【そうめん処 霞亭】
☎0791-62-2040 11:00~16:00 水曜日定休
瀬戸内各地にある「国の伝統的建造物群保存地区」についてはこちら!
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