GO! GO! SETOMIN GIRLS! Stroll through the Historical Streets.
古き良き風情が今も残る「伝統的建造物群保存地区(伝建地区)」。数々の歴史的建造物は観光スポットとしてもはやメジャーだが、歩き方や目の付けどころ次第でさらなる魅力をうかがい知ることができる。はては家づくりのヒントも見つかるかもしれない。瀬戸内エリア各県の伝建地区に秘められた魅力を再発見しに、あらためてゆっくりと散策してみよう。
<取材・文/鎌田 剛史 写真/鈴木トヲル>
柳井市古市金屋 伝統的建造物群保存地区
山口県柳井市 ●種別/商家町 ●選定/1984年 ●面積/1.7ha
広島県との県境から約20kmほど海沿いに南下すると、かつて醤油や柳井縞などの交易で栄えたという街・山口県柳井市にたどり着く。この街に残る「柳井白壁の町並み」は、小ぢんまりとしていて気軽に散策しやすいスポット。古き良き日本の建築文化の素晴らしさを体感できるのはもちろん、どこか懐かしく心がほっこりする、いろんな発見や出会いが待っている。
柳井市古市金屋 伝統的建造物群保存地区ってどんなところ?
江戸時代には「岩国藩のお納戸」と呼ばれ、瀬戸内海有数の商港都市として栄えた柳井。古市・金屋地区には白壁の美しい町並みが現存し、室町時代からの町割が残る約200mの通りに、当時の商家や町屋の建物が軒を連ねている。軒先には「金魚ちょうちん」がずらりと吊り下げられ、近年は”映える”スポットとしても人気。JR柳井駅から徒歩約10分。詳しくはこちら
柳井の町並み見どころ5選
①町中を彩る「金魚ちょうちん」。
鮮やかな赤と白の胴体に、パッチリと黒い眼を開いたユーモラスな表情の「金魚ちょうちん」。幕末のころ、柳井の商人が子どものために青森県の「金魚ねぷた」をヒントに、地元の織物である「柳井縞」の染料を用いて作ったのが始まりだといわれている。毎年8月には「柳井金魚ちょうちん祭り」が開催されている。
②カニも歩く路地「かけや小路」。
白壁の通りから柳井川の「緑橋」付近まで延びる路地は、川から荷揚げした産品を運んだ道。かつてあった豪商の屋号をとって「かけや小路」と名付けられている。中世に造られた石積みの水路を覗くと、赤手ガニがゆっくりと歩いている。たまに路上に出てくるため「カニ注意」の看板も立てられている。
③築100年の風格「甘露醤油蔵」。
柳井市の代表的な特産品である「甘露醤油」。通りから徒歩1分ほどの所にあるのが1830年創業の蔵元「佐川醤油店」。醤油蔵の一部を資料館として公開していており、かつて醤油製造に使われたという年季の入った道具類や、甘露醤油の製造工程などを見ることができる。甘露醤油はもちろん、醤油を使ったジェラートなど多彩な製品も販売している。
【甘露醤油資料館】
☎0820-22-1830(佐川醤油店) 詳しくはこちら
④「金魚ちょうちん」や「柳井縞」の製作を体験。
通りから北に伸びる道を行くと、大正時代末期に建築された建物でかつては醤油蔵だったという「やない西蔵」がある。ここでは「金魚ちょうちん」「柳井縞」の製作体験ができる。
【やない西蔵】
☎0820-23-2490 詳しくはこちら
⑤町並みの周辺にも歴史的な建物が現存。
かつて「周防銀行」の本店だった明治時代後期のモダン建築「町並みふれあい館」や、明治の文豪・国木田独歩が青年期を過ごした平屋「国木田独歩旧宅」など、白壁の町並み周辺にも歴史的建造物が残っている。足を延ばしてみよう。
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