今、国内外から熱い注目を集めるエリア「瀬戸内海」。日本でも屈指の美しさを誇るロケーションを彩るのは、約700以上もの個性豊かな島々。そこには数多くの観光スポットが存在するとともに、島に住まう人たちの穏やかな暮らしと文化が根付いている。人々が暮らす岡山県の多彩な島々を紹介。
<取材・文/鎌田 剛史>
瀬戸内海に浮かぶ岡山県の有人島19
岡山県には87の離島があり、そのうち19の島で人々が生活している。島が密集する主なエリアは、笠岡市の笠岡諸島地域、倉敷市の児島諸島地域、玉野市の石島地域、岡山市の犬島地域、瀬戸内市の前島地域、備前市の日生諸島地域。のんびりくつろいだり、アクティブに遊んだりと、思い思いに島時間を満喫できる。
1.六島(むしま)
■笠岡市 ■笠岡諸島
■面積/1.02㎢
県最南端に位置。古くから海上交通の要所で、県内で初めて建てられた六島灯台がある。1~2月にはスイセンが美しく咲き誇る。
2.大飛島(おおびしま)
■笠岡市 ■笠岡諸島
■面積/0.96㎢
古くから潮待ちなどで立ち寄る船が多く、かつて海運業で繁栄した島。奈良~平安時代の祭祀遺構「洲の南遺跡」が発見されている。
3.小飛島(こびしま)
■笠岡市 ■笠岡諸島
■面積/0.96㎢
古くから潮待ちなどで立ち寄る船が多く、かつて海運業で繁栄した島。奈良~平安時代の祭祀遺構「洲の南遺跡」が発見されている。
4.真鍋島(まなべじま)
■笠岡市 ■笠岡諸島
■面積/1.49㎢
のどかな漁村の風景が残り、県の「ふるさと村」にも指定されている。平家に属した真鍋氏の城跡や石造宝塔などの史跡が点在する。
5.北木島(きたぎしま)
■笠岡市 ■笠岡諸島
■面積/7.48㎢
笠岡諸島で最大の面積を誇る島。昔は「柴島」と呼ばれていたが、「柴」の字が「北木」に書き換えられ、現在の名になったといわれている。
6.白石島(しらいしじま)
■笠岡市 ■笠岡諸島
■面積/2.95㎢
キャンプ場や海水浴場のほか、島中央部にある鬼ヶ城山頂の奇岩「鎧岩」などの見所もあり、シーズンには多くの観光客が訪れる。
7.高島(たかしま)
■笠岡市 ■笠岡諸島
■面積/1.05㎢
かつて瀬戸内海航路の要衝として栄え、採石業と海運業が盛んだった島。現在は海水浴やキャンプなどのレジャーで訪れる人が多い。
8.六口島(むぐちじま)
■倉敷市 ■児島諸島
■面積/1.09㎢
自然体験や釣りで島を訪れる人が多く、漁業と観光業が盛んな島。象のように見える巨大な奇岩の「象岩」が有名で、国指定天然記念物。
9.松島(まつしま)
■倉敷市 ■児島諸島
■面積/0.08㎢
周囲が約1.2㎞の県内最小の有人島。眼前に瀬戸大橋を望み、のどかな雰囲気が漂う。藤原純友に由来する「純友神社」がある。
10.石島(いしま)
■玉野市 ■面積/0.82㎢
漁業が島の中心産業で、特にノリの養殖が盛ん。「石島古墳」や「石島八十八石仏」などの歴史的遺産も残る。渡航はチャーター船で。
11.犬島(いぬじま)
■岡山市 ■面積/0.54㎢
古くから石の採掘で知られ、良質な石は「犬島みかげ」と呼ばれ、岡山城や大阪城の石垣にも使用された。映画などのロケ地にもなっている。
12.黒島(くろしま)
■瀬戸内市 ■面積/0.1㎢
島中央部には貝塚や前方後円墳が見つかっている。干潮時には端ノ小島との間が陸続きになり、その美しい光景を見ようと多くの人が訪れている。
13.黄島(きじま)
■瀬戸内市 ■面積/0.41㎢
かつては住民も多くいたが次第に減少、現在は島の大部分が個人所有地。定期航路はなく、チャーター便の利用が必要。
14.前島(まえじま)
■瀬戸内市 ■面積/2.42㎢
別名「緑島」。白砂青松の海岸や自然林が豊富で、島全体が国立公園に指定されている。釣りや海水浴、潮干狩りに多くの人が訪れる。
15.長島(ながしま)
■瀬戸内市 ■面積/3.52㎢
日本初の国立ハンセン病療養所「長島愛生園」があり、歴史館では人権について学べる。「邑久長島大橋」が架かり車でも渡れる。
16.鴻島(こうじま)
■備前市 ■日生諸島
■面積/2.07㎢
急峻な山が大半を占め、平地は少ない。傾斜地にはミカン畑が広がり、春夏には家族連れや若者たちが来島する。別荘地としても知られる。
17.頭島(かしらじま)
■備前市 ■日生諸島
■面積/0.6㎢
備前市の日生港から約4kmに浮かぶゆるやかな丘陵状の島。日生諸島の中では最も人口が多い。海水浴や釣りの人気スポット。
18.大多府島(おおたぶじま)
■備前市 ■日生諸島
■面積/0.4㎢
日生諸島最南端に位置し、江戸時代には岡山藩の藩所があった。島を一周する自然研究路が整備され、往時を偲ばせる史跡を散策できる。
19.鹿久居島(かくいじま)
■備前市 ■日生諸島
■面積/10.13㎢
県内最大の島で、野生の鹿が生息することでも知られる。弥生時代の高床式住居などを復元した施設「まほろば」では古代の生活を体験できる。
<Tips>南北で名前が変わる珍しい島「石島」。
玉野市沖に浮かぶ「石島(いしま)」には県境が存在する。島東部の「戸尻鼻」と西部の「ヘラガ崎」の2つの岬を山の稜線で結んだ線が県境で、北側は岡山県、南側は香川県。しかも、南北で島の名前が変わるという珍しい島だ。呼び方は両県とも同じ「いしま」だが、岡山県側では「石島」、香川県側では「井島」と表記する。江戸時代、幕府の直轄領(御料地)だった香川県の「直島」と、岡山藩胸上村との間で島の領有権と漁業権を巡り紛争が起こっていたものを、1690年に幕府評定所の裁定によって、北側を岡山藩胸上村領に、南側が御料地となり、その名残が今日まで残っている。ちなみに現在は岡山県側に住民が生活しているが、香川県側には人は住んでいない。
<Tips> 良質な花崗岩が採れる”石の島”「北木島」。
笠岡市の笠岡港から南に約15kmの地点にある「北木島」は、笠岡諸島の中で最大の面積を誇る島。この島では昔から良質の花崗岩が豊富に採れていたことから、「石の島」として全国にその名を知られている。石材採掘の歴史は古く、中でも大阪城の石垣にも使われた話は有名。そのほかにも靖国神社の大鳥居や、日本銀行旧本店、三越本店、日本橋などに北木島産の石材が用いられている。現在でも採石は島の産業として受け継がれており、墓石をはじめとする石材加工が盛んだ。北木島の定期船乗り場のある豊浦地区には、実際に北木石を使用した彫刻作品の1つ『メビウスの輪』を展示しているほか、北木中学校の北木記念室では、かつて使われていた貴重な採石道具などを見ることができ、この島で脈々と育まれた石の文化に触れることができる。
魅力と個性あふれる岡山県の島へ行ってみよう。
岡山県にはのどかな島時間が流れる魅力的な島がいっぱい。 実際に足を運び、瀬戸内の素晴らしい気候風土や、島に住む人の営み・文化などに触れながら、瀬戸内ならではのLiving with Natureを体感しよう。
橋が架かり自動車で気軽に渡れる離島もあるが、フェリーや定期船などでしか渡ることができない離島も多いので、 帰りの便の出航時間をあらかじめ確認して行動予定を立てよう。また、地元の人たちの生活区域であるため、街などを散策する際にはくれぐれもマナーを守って歩くことも大切。さらに、飲食店や商店、自動販売機のない島もあるので、飲食物を持参する際には事前に購入しておくことも忘れずに。
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